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2006年8月 5日 (土)

長谷川等伯「波濤図」

8月2日より京都国立博物館の常設展で長谷川等伯の「波濤図」が展示されているので見に行った。

P_hatouzu
この作品は以前から見たかったが、なかなかその機会がなかった。
今回、常設展に展示されると知り、特別展の展示変えを待たずこの作品を見るため常設展へ足を運んだ。

期待を違えず、素晴らしい作品であった。

この作品は京都の禅林寺(紅葉で有名な永観堂)の方丈のふすま絵だったものを軸装されたもので、大きな軸8幅、小さい軸4幅の全12幅からなる。今回展示されているのは、そのうち大きな軸8幅である。
(展示されている8幅の内、1幅)

金箔を押し地に、激しく押し寄せる波濤とそれに耐える岩の状景が見事に描かれている。

海は、長谷川等伯の出身地である、日本海の七尾付近であろうか。ゆったりと流れながら、突然岩に向かってその白い波頭をぶつけて来る。そして、砕けた後は岩の間をさぁーっと流れ、また海に帰って行く。そんな状景が永遠に続く様子が全面に描かれている。じっと見ていると、海鳴りの音が聞こえて来そうな感じである。

岩の描き方は、雪舟に似ている。太い線の濃淡を勢い良く描く手法で、その厳しさを伝えている。しかし、海の描き方は等伯のオリジナルだ。波を太い線と細い線で組み合わせ、その線の間をぼかすことで、海の持つダイナミックな動きと、流動感を強調している。

等伯と言えば国宝の「松林図」が有名であり、和様の水墨画の頂点のようにあつかわれているが、この晩年の作とされる「波濤図」のダイナミックな動きは、「松林図」の静謐さとは大きく異なるものである。また、その手法も大きく異なるものである。そのような点で長谷川等伯という作者に大いに興味を惹かれる。

なお、今回の常設展では、お盆にちなみ多くの地獄・閻魔関係の作品が展示されている。「沙門地獄草紙」「矢田地蔵縁起」「仏鬼軍絵巻(これは面白い)」「十二天屏風 閻魔王(神護寺・聖衆来迎寺)」「閻魔天曼茶羅図」など。この企画もよかった。

その他には、今人気のある若冲の「乗興図」、呉春の「柳鷺群禽図屏風」、渡辺華山の「市河米庵像」などがあり、充実した内容となっている。

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