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2006年11月11日 (土)

「応挙と芦雪」展で感動した!

奈良県立美術館で開かれている、「応挙と芦雪」展へ行って来た。

Imgrosetupこの展覧会の副題が「天才と奇才の師弟」とある。18世紀に京都で円山派をうちたてその後の日本画壇に大きな影響をあたえた円山応挙とその弟子長沢蘆雪。その二人の画業をあまねく示す示す好企画な展覧会である。

特に、芦雪に関しては、その代表作がほぼ集まり、いままで見られなかった作品も多く展示されている。

プライス展で芦雪の面白さを知った人にとっては、見逃せない展覧会である。

会場は、「人物」「花鳥」「山水」の3部構成で、応挙と芦雪のその画風の違い、似通った点がわかりやすく展示されている。

Imgooishi人物は応挙の「大石良雄図」から始まる。

忠臣蔵の大石良雄が茶屋で遊興している絵である。
この着物の描き方がすごい!。まず、裸体の体を描き、つぎに長襦袢、着物、羽織を順々に着せる様に描いてある。そのため着物の透け具合まできっちりと現れており、さすが写実の応挙である。
お茶屋遊びの艶かしさをよく表している。

その他応挙では、写真はないが、「七難七幅図巻」がおもしろかった。世の中の不幸な事と、幸福な事を描いた巻物で、前期は地震の部分が展示されていた。揺れ動く大地に畏れおののき地にひれ伏す人々の有様が、応挙らしく写実的に描かれていた。

芦雪では「唐子遊図」。
寺子屋で学ぶ子供達の様子を描いたもので、一人々の表情がかわいらしい。
まじめに習字をする子もいれば、落書きする子もいる。そんな状景が愛情こめて描かれている。
芦雪の子供の絵には、いつも背を見せ逃げて行く子供がいるそうだ。それは幼くして亡くなった芦雪の子供の姿であるとの説がある。そう思うと、愉快な絵も、ちょっとしんみりとする。

Imgtora芦雪「虎図」

和歌山県無量寺の「虎」である。芦雪の虎はプライス展でも出品されていたが。この虎はそれに比べて猫顔している。その虎が約7m位の幅で、襖6面に堂々と描かれている。それにしても大きい!その迫力に圧倒される。しかしその反面この猫顔のかわいらしさはなんともいえない。芦雪の魅力はこのような大胆な構図と猛獣と愛くるしい顔というようなコントラストの妙である。それが堪能できる一品である。

ImgushiImsfuji左図は芦雪の「牛図」

黒い牛を堂々と正面から描いた作品である。牛の首回りのたるみ、背中の盛り上がり、画面をはみだす構図、つぶらな青い目、これらによりこの牛の重量感を見るものにずっしりと感じさせる。
このように重さを感じさせる絵は少ない。
プライス展での「白象黒牛図屏風」では足元に描かれた小さな白い子犬との対比でその存在感を描いていたが、この絵では、のしかかる様な構図により、見るものと牛との対峙でその存在感を示してる。

右図は芦雪の「富士越鶴図」

富士山の山腹を回り込んで来る鶴の編隊。山の向こうには朝日が見える。まず驚かされるのはこの視点。何を見てこのような視点を考えつくのであろうか?また、この鶴の編隊は向こうからこちらに向かって飛んで来る。これも見る側にある種の浮遊感覚を抱かせる。飛んで行くのと、来るのではこの絵の印象は大きく違って来ると思える。芦雪のエキセントリックな面を強烈に感じる作品である。

Imgtuki円山応挙「四季の月図」(春、夏 部分)

春の朧月、夏の三日月、秋の名月、冬の吹雪の月と四季折々の月を描いた四幅である。描表装には春は桜、夏は芦葉と蛍、秋は紅葉、冬は寒牡丹を描きこんである。

応挙晩年の作らしく、今までの持てる技を尽くして描いているように思える。春の朧月のぼかし、夏の三日月の間を流れる雲の勢い、秋の名月の輝き、冬の吹雪に滲む月どれをとってもすばらしいものである。
この作品で、私の中の円山応挙が変わった。今まで多くの応挙の絵を見て来たが、確かに上手いし立派な絵だった。しかしなにか冷たいところがある絵だなと感じていた。あまり面白さは感じなかったし好みではなかった。しかしこの作品を見て、思わずうなってしまった。これは本当に凄い絵だ!。この絵には本当の自然があるし、四季があると感じた。うまく言葉にはあらわせないが、感動した!

この展覧会は前期(11月5日まで)と後期(11月5日〜12月3日)までの2期に分かれている。展示内容は前期と後期ではすべて入れ替わる。後期に応挙の「牡丹孔雀図」や「雲竜図」「大瀑布図」がしゅぴんされる。芦雪は「山姥図」が出品される。もう一度応挙を見直すためにも、後期にも来るつもりだ。

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コメント

こんばんは

>芦雪の子供の絵には、いつも背を見せ逃げて行く子供がいるそうだ。それは幼くして亡くなった芦雪の子供の姿であるとの説がある

岩上猿図も子を亡くした母猿の茫然とした絵でしたね。
わたしは今回あの絵をみて、逃げてゆく子はそのまま帰らない、と感じていました。それが現実から乖離したような不思議な感覚だと思ったわけなのですが。
ただ可愛いだけではない。そんな感じがしました。

投稿: 遊行七恵 | 2006年12月 5日 (火) 00時28分

初めまして。私も「応挙と芦雪」へ行ってきたので、
よろしければTBさせてください。
四季の月図、好きなんですよ。
月だけでも四季がわかりますが、
表装に描いてある絵が更に価値を高めているように
思いました(もっとも表装の絵は応挙じゃないですが)。
展示品が総入れ替えということで後期にも行ってきました。

投稿: kodama | 2006年12月19日 (火) 19時59分

「応挙と芦雪」よかったですね!
私も後期にも行きました。
後期では、応挙の素晴らしい絵が多く、あらためてその素晴らしさに感じ入りました。
TB大歓迎です。
夜、澄み切った寒空に、こうこうと照る月を見て、いつもあの絵を思い出しています。

投稿: 好日 | 2006年12月19日 (火) 21時34分

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受信: 2006年12月 5日 (火) 00時30分

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