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2007年1月 6日 (土)

「春を待つ」京都市美術館

京都市美術館では昨年から所蔵のコレクションを何回かに分けて展示している。

Haru_1今回は四回目。
「春を待つ」というコンセプトで冬から春へと移り変わる季節の様子を描いた作品や、美術作品における「待つ」という工程をあらわす作品群を展示している。

正月らしい良いネーミングである。
また、ポスターもよかった。
年末に街中でこのポスターを見て、この展覧会を見に行こうと思った。

ポスターは上村松園「人生の花」。嫁入り道中における花嫁の様子を描いた作品である。どこからともなく「金襴緞子の帯しめながら花嫁御寮はなぜ泣くのだろう♪」という童謡が聞こえてきそうな感じがする。
伏せ目がちな目元と堅く結ばれた口元に、これからの希望と不安、そして家を離れる決意みたいなものが感じられる。女性としての松園ならではの優品である。

展覧会には、日本画では池田遥邨、山口華楊、富岡鉄斎、小野竹喬、竹内栖鳳、上村松園等明治から昭和にかけての京都画壇の重鎮の優品が並んでいる。また版画でも吉原英雄、井田照一、加納光於、陶磁器でも清水卯一、近藤悠三、楠部弥一、清水六兵衛等有名作家の作品が展示されている。

Imgfuyuそのなかから目についたものとして、木島桜谷「寒月」。
六曲一双の屏風絵。
下段が右雙、寒空に低くかかる下弦の月、その月の光に照らされて白く光る竹林につもる雪、その静寂さを白と黒と薄墨できっちりと描いている。
厳寒の清冽な空気が伝わって来る。竹林の黒が見事である。

その静寂さを破るが如く、左雙では竹林の奥から狐が歩み出て来、この空間の中に生命の暖かさを感じさせる。
右側から左側へ、視点の動きに合わせ静から動への、雪原の冷たさから生命の暖かさへの心の動きを表している。

桜谷は明治から昭和初期に活躍した画家で、端正な作品が多いらしい。しかしこの色調は見事である。

Imgmioこれは三尾公三の「冬の残像」。
三尾公三といえば、1980年代の写真雑誌「フォーカス」の表紙を描いたことで有名。
「フォーカス」の表紙を見慣れてた人は、案外小さい絵を想像するが、三尾公三の絵は思っている以上に大作である。この絵も横は約3m60㎝、縦は1m80㎝ある。
その独特の遠近感はなかなかの迫力である。
この絵でも三尾公三の特徴である、見つめる目がある。これは何を見つめているのだろうか。この目の見てる先と画面上の誇張された遠近感、これが平面である絵にもかかわらず三次元的な広がり感じさせる。それが三尾公三の絵の魅力でもある。

やはり、歴史のある京都市立美術館だけあり、その所蔵作品には隠れた名品もあり、すばらしい。
今後はこれらをぜひ常設展示できる環境をつくりあげてもらいたいものである。

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受信: 2007年3月 2日 (金) 17時00分

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