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2007年2月24日 (土)

「鍋島展」大阪市立東洋陶磁美術館

国立国際美術館を出て、堂島川沿いに東洋陶磁美術館へ進む。この道沿いには、「ダイビル」を始めとして、「日銀」、「大阪市役所」、「中之島図書館」、「中央公会堂」と近代の名建築が並ぶ。

Imgnabesima1東洋陶磁美術館は、その中之島の東の端にある。今ここでちょっとすごい美術展が行われている。「将軍への献上 鍋島 ー日本磁器の最高峰ー」である。

「鍋島」は、1650年位から肥前の鍋島藩が将軍家への献上を目的として、採算を度外視して、藩窯で特別に作成した磁器である。
将軍に献上するのだから、藩の存亡がかかっている。そのため伊万里や有田の最高の技術を持つ陶工が集められ、精緻で斬新なデザインのものが作成されている。そして作られているのは皿。将軍の日常の食事等で用いられる皿が中心。

今回の美術展は、献上された将軍により「鍋島」の絵柄がどのように変化して行ったかがわかるように、1.草創期(3代家光)、2.成長期、3.隆盛期(5代綱吉)、4.成熟期(8代吉宗)、5.衰退期(10代家治)の時代別に展示されている。権力に近い所で作成された陶磁であるだけに、時代の雰囲気、将軍の好みがダイレクトに反映されていることが興味深い。

上のチラシの作品は「鍋島」と言えば必ず引き合いに出される「色絵桃文大皿」。尺皿と言われる大皿に桃の花と実が描かれている。この3個の桃果がなんともいえず美しい。真ん中の桃はダミ(染付の手法)により繊細なグラデーションがなされ、赤い2つの桃は更にその上から赤色の細かい点を無数に打つ事により桃の肌合いを見事に表現している。ため息が出る程すばらしい。

Imgnabesima2続くこれらの皿、いづれもが「鍋島」の名品。

染付の藍色および上絵の赤、緑、黄色の四色で彩色されており、それが白地に映えて空間の妙を醸し出す。

上左の藤棚の背景に描かれたダミの模様、上右の赤線で皿面一杯の描かれた桜のあでやかさ。
中左の「鷺」の絵柄の配置の素晴らしさや、中右の「月に兎」の精緻に一本ずつ描かれた毛の細かさ。
下左の組紐のバランス感覚の素晴らしさや、下中の瓢箪の配色の美しさ。

どれもこれも名も無き職人の、美的感覚および技術のすばらしさに、ただただ感心するのみ!


Imgnabe3この皿は衰退期に作られた「染付大川内藩窯図大皿」。
描かれている絵は「鍋島」が作られた藩窯の様子。真ん中に凹形に描かれている横長の建物の中でこれらのデザインと絵付けがなされていた。真ん中左部分に弧形に描かれているのが藩窯。ここで鍋島は焼かれた。皿面下部にある家々は陶工達が住んだ家屋。伊万里、有田から集められた腕利きの職人達は藩の監視のもと、この地に住み黙々と皿を作った。藩の役人達は皿面上部の石垣に囲まれた部分に住む。道の要所々には、関所が設けられ、「鍋島」の技法が他の地へ持ち出されるのを防いだ。

このように鍋島藩の威信をかけて作られ守られて来た鍋島だが、徳川時代が終わるとそれと同じくして衰退して行った。

約250点程の展示で、ほぼ「鍋島」の全容を知る事ができる美術展である。
官窯としての「鍋島」は、民窯として発展して来た「京焼」等とは、またちょっと違った美しさ(官により統制のされた、職人芸の美しさ)であると思うが、日本の陶磁器のなかで一つの頂点を示した作品群であることには間違いない。

*「将軍家への献上 鍋島」
 大阪市立東洋陶磁美術館
 平成19年2月10日〜3月25日

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コメント

生活の道具でありながら美術品になる器ってスゴイですよね。徳川将軍がその器で食事を召し上がってい様子が何となく浮かんできました。ちょっとデザインかじっていますが、そんな職人の感性にもっと触れたいなとおもいました☆

投稿: 京都に通い妻 | 2007年2月27日 (火) 00時30分

京都に通い妻さんへ
確かに、「鍋島」で徳川将軍が焼き魚や野菜の煮物を食べたりした事を想像すると、「え〜っ!」となってしまいます。しかし、我々も「鍋島」まではいかないとしても、自分なりに気に入ったものにかこまれて生活したいですね。

投稿: 好日 | 2007年2月27日 (火) 21時36分

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