« 「都のうつわ」展 京都市考古資料館 | トップページ | 「ギメ東洋美術館浮世絵名品展」 大阪市立美術館 »

2007年4月28日 (土)

「幕末浮世絵展」 大丸ミュージアムKYOTO

質素倹約を旨とした松平定信の寛政の改革が失敗に終わり、幕府の力の限界が見えて来ると、文化の主体は今までの公家、武士、豪商などの一部の特権階級から、広く庶民に移って行った。

Img_uki1文化・文政の時代から、天保の改革などの揺れ戻しはあったが、幕末までの間、庶民の文化は芝居、出版、岡場所等を中心に隆盛をきわめ、そして熟欄の時期を向かえて行く。

浮世絵はその時代を表す鏡として、様々な様相を見せ、庶民の欲望を満たす強力なメディアとして隆盛をきわめていった。

その時代を代表する、北斎、広重、國貞、國芳らの作品を中心とした、「中右コレクション」の浮世絵の展覧会が京都大丸で開催されていた。(4月24日まで。) これがすばらしく見応えの有る物であった。

Img_uki2
まず、会場の入口にあった歌川國芳の「相馬の古内裏」。この絵でググーッとこの展覧会に引き付けられましたね。おどろおどろしい世界。魑魅魍魎の世界。幕末の騒がしい世相にのった「武者絵の國芳」快心の作である。

「将門の娘瀧夜叉姫、父の敵を討たんとして妖術をつかい一族郎党を集める。それをやっつけようと乗り込んだ豪傑大宅太郎光國、獅子奮迅の大立ち回り」という物語である。

ワイドスクリーン3枚仕立てにひろがる迫力ある大画面、上から襲いかかる大骸骨(しかし骸骨、どうみてもニタニタしてますなぁ!!)。当時の人々のど肝をぬく絵である。

構図といい、色調といい、エンターテイナーとしての國芳の凄さに恐れ入谷の鬼子母神。

Img_uki3続いては「役者絵の國貞」。
このころ歌舞伎も盛んで、名優たちがその芸を競い合った。五代目松本幸四郎、三代目中村歌右衛門、七代目市川団十郎。國貞も多くの役者絵を残しているが、
これは文化11年(1814)に刷られた「大当狂言」シリーズ。ポスターに載っているのが坂東三津五郎の「梶原源太」。演目は「ひらがな盛衰記」でしょうかね?長い鼻筋、鋭角的な鼻、小さな口、とんがった顎、そしつり上がり大きな目、この頃の歌川派の役者絵の特徴を表している。
左は岩井半四郎の「八百屋お七」。寄った目にその狂気が潜んでいる感じがする。

役者絵の大首絵は、「写楽」が有名だが、写楽は正当の浮世絵のなかで突然現れた逸材。それに比べて國貞は時代を感じ、時代の受けをねらった、エンターテインメントに徹する気風が感じられる。役者も喜ぶ、小屋も喜ぶ、庶民も喜ぶという楽しみにあふれた絵振りがうれしい。

「待ってました〜」と大向こうがかかるような楽しさがある。

Img_iki6浮世絵と言えば「美人画」。これは渓斎英泉の「浮世風俗美女競 美艶仙女」。
英泉は美人画というよりも女郎絵を得意とした浮世絵師で、ちょっとした仕草や表情のなかに女の情念や色気を感じさせる絵が多い。

この絵は、「美艶仙女香」という白粉の宣伝用に刷られたもの。

切れ長の左目で白粉を見、右目で鏡に映る自分の顔を眺めている(不思議な表情・・・)。
美しくなりたいという女の情念がひしひしと感じられる。考えてみれば、資生堂などのポスターと同様なもので、今も昔も変わらない本質を持っている。

しかし色っぽい・・・。

その他北斎や広重、そして寄せ絵、マジック絵(そのへんははたこさんのブログで)も多数出展されており、百貨店での美術展としては、相当充実していた。大丸この頃企画の良いものがそろってる。
これと大阪で開催されている「ギメ東洋美術館展」を見れば、浮世絵の代表作は一通り見られる。
タイミングの良い美術展だった。

|

« 「都のうつわ」展 京都市考古資料館 | トップページ | 「ギメ東洋美術館浮世絵名品展」 大阪市立美術館 »

コメント

相馬の古内裏を冒頭に持ってきたのはうまい陳列だったなあと思います。浮世絵にそう興味のない人でもなんだろう?と思いますよね。

もっといろいろな作品を見て、作風で作者がわかるようになりたいです。

投稿: はたこ | 2007年4月28日 (土) 23時08分

はたこさんへ
確かにもっといろいろな作品をみたいですよね。
でも、京都ではなかなかまとまって見る機会がありません。東京だったら、東博の常設なんかで、いつも見られます。また、専門の美術館もありますし。
「ギメ展」もぜひ行かれることをお勧めします。でも11時から3時までは混んでますよ

投稿: 好日 | 2007年4月29日 (日) 12時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95018/6223400

この記事へのトラックバック一覧です: 「幕末浮世絵展」 大丸ミュージアムKYOTO:

« 「都のうつわ」展 京都市考古資料館 | トップページ | 「ギメ東洋美術館浮世絵名品展」 大阪市立美術館 »