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2007年5月 6日 (日)

「ゑげれすいろは版画家川上澄生展」大山崎山荘美術館

「南蛮船がゆらゆらと 赤と青のらんぷをともし 港をゆっくりでていきます。それを見送る羅紗面が 手を振るたびに紫の 絣の袂が揺れてます。」

Img_kawakami5_1こういう感じの日本的エキゾティズムとノスタルジアを描いた川上澄生展がアサヒビール大山崎山荘美術館で開催されているので行って来た。

川上澄生は明治28年(1895)横浜に生まれ、横浜・東京で青年期を過ごし、一時カナダを放浪していたが帰国し、大正10年から宇都宮で教職につきながら木版画の作品を作り出した。そして昭和47年(1972)亡くなった。

幼い頃に見聞きしたハイカラな横浜の異国情緒あふれた町並みと東京山の手の西洋風俗の様子を、木版画の柔らかい世界に展開している。見ていてなにかほのぼのした気持ちになる。

この川上澄生の木版画を見て、それまで油絵と版画を製作していた棟方志功が版画一本で行く事を決意したのは有名な話。その棟方をして決心させた版画がこの「初夏の風(ローマ字版)」。
初夏の風がオリーブグリーンで描かれ季節の軽やかな感じをうまく出していし、突然吹くいたずらな風にあわててスカートの裾をおさえる若い女性の初々しさがこの画をすがすがしい感じにしている。

川上の版画には、画と詩がかかれている場合が多い。その言葉がまた画の雰囲気を良く表している。この画の上にはローマ字で「Ware Kazeto naritaya・・・・」と描いてある。この女性は誰だったのだろうか?

Img_kawakami2これは川上が幾度となく描いた「南蛮船図」。文明開化の時代の異国情緒を執拗に追いかけている。生まれた時代からして、文明開化の時代はひと昔の物語であったはずだが、川上は自分の知らない過去を追い求める「遅れて来た青年」だったのだろうか。

川上のこれらの画のシリーズには、「ランプ」「珈琲」「ギヤマン」「イスパニア」「メリケン」等の言葉が良く似合う。同じような雰囲気は、北原白秋の「邪宗門」とか、萩原朔太郎の詩、竹久夢二の画とかに感じる。これらは大正ロマンに共通した雰囲気かもしれない。

その他には、「いんへるの」「煙草渡来記」等の版画と、井伏鱒二の「集金旅行」、萩原朔太郎の「猫町」等の本の装丁、新館のほうにガラス絵の優品も展示されていた。

Img_kawakami3
これは川上澄生の「ゑげれすいろは人物」という本。右側の版画は「へっぽこ先生」として展示されていたが、手持ちの本ではこのような感じ。

左側の文章には
○実は私はへっぽこ先生○給仕人だの居候○鮭缶詰製造人夫○看板の図案描き○羅紗問屋の番頭○それから学校の先生だ

これは川上澄生の自画像である。川上はこういう感じであった。
なかなか憎めない風貌である。。

若葉繁るこの季節、この山荘に似合った展覧会。のんびりした気分で見られた。

・アサヒビール大山崎山荘美術館(JR東海道線山崎、阪急京都線大山崎下車10分)
・会期 2007年3月28日〜6月17日

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