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2007年5月25日 (金)

「若冲展」 承天閣美術館(その1)

若冲の「動植綵絵」が返って来た。

Img_jyakutyu1_1有るべき所で、有るべきものを見る。それがなかなか出来ないのが現実。
今回、開基足利義満600年忌記念として、明治以来宮内庁が収蔵されていた「動植綵絵」30幅が相国寺に里帰りし、昔の「観音懺法請(センポウコウ)」と呼ばれる法会の時と同様、「釈迦三尊像」と共に、一室に並べられる。

「釈迦三尊像」あっての「動植綵絵」であり、「動植綵絵」あっての「釈迦三尊像」であるので、これが揃うと合って、折からの若冲ブームと相成って展覧会が始まる前から異様な人気。
この日も激しい雨にも関わらず、開場30分前に既に多くの人が並んでる。待っている間にも後ろに列はどんどん伸びて行く。増築されたと言ってもそんなに大きな美術館ではないので、だんだんと身動きが取れるだろうかと心配になる。

開場前に時間があるので、ちょっと「動植綵絵」のおさらい。
若冲は「動植綵絵」を1758年から1769年位までに描いたとされているが、文献によると、1766年に24幅と「釈迦三尊像」3幅が寄進され、その後6幅が1769年までに寄進されとされている。当初若冲は花鳥画(水墨画を含む)を寄進するとしていたようだが、その後彩色画に変え1766年にまず最初の寄進、そして「芦雁図」「老松白鳳図」「群魚図(2幅)」「菊花流水図」「紅葉小禽図」の6幅が寄進されたとされている。そのような意味から、この最後の6幅に関しては、法会で使われる仏画としての「動植綵絵」に対する若冲の思い入れや、全体構成をしめす鍵となるものだと思える。

と思っている間に開場となり、いそいそと館内にはいる。まずは第一会場。ここには相国寺本山と塔頭に伝わる若冲の作品20点程と「鹿苑寺大書院障壁画」。

Img_jyakutyuu2鹿苑寺(金閣寺)大書院一の間にえがかれている「葡萄小禽図床貼付」(部分)
承天閣美術館にはこの部屋が再現してあり、常設されている。
若冲の葡萄図としてはプライスコレクションの画が有名だが、これは3面の壁面とその側面にも大胆な構成で描かれている大きな作品。
葡萄のつるが上部から垂れ下がる様に描かれており、逆に下部は大きく間を取るかの様に空いている。若冲の空間構成の妙が感じられ、正面から見ていると、窓の外に葡萄棚が有るかの感じを受ける。
これは床の間の概念をがらっと変えてしまうもの。この床の間には軸も入らないし、置物も必要ない。

大きく描かれた葡萄の葉には、若冲独特の虫食いや病葉の後が見え、葉よりも濃い色で描かれた葡萄の実を描く事で、白一色の壁面に立体感を醸し出している。
若冲の自身溢れた作品。

Img_jyakutyu3これは先程の「葡萄」の間に続く三の間にえがかれている「月夜芭蕉図床貼付」。
この芭蕉はすごい。水墨で描かれているにもかかわらず、色が見える。(ように思える。)芭蕉の葉の濃い緑の部分と枯れて茶色になった部分、それが満月に照らされて暗闇の中に光っている様が見える。

迫力といい、葉一枚一枚を描く細やかさといい、葉先まで続く勢い、若冲の傑作の一つではないかと思う。実は若冲を本当に好きになったのはこの絵なのである。
彩色画が人気のある若冲だが、それ以上に若冲の水墨画に惹かれる。

いままで多くの東西の絵を見て来たが、その中でも本当に好きな部類に入る画の一つである。

さて、第一会場も混んで来たので第二会場へ行き「動植綵絵」を見る事にする。
(続く)

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