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2007年5月 4日 (金)

「神泉苑大念仏狂言」

今年の「神泉苑大念仏狂言」も今日が最終日。午後と夜の2部構成。昼前から狂言堂へ行く。

Img_1906既に何人かの老人の方々が集まって、昔の話を色々としている。聞いていると新撰組の話やら、神泉苑の獄舎の話やら、幕末の頃の話らしい。彼らもその祖父位から聞いた話をしている。
老人の話を聞くのは昔から好きだ。その話の中から、昔の事を想像するのは楽しい。どうなるか判らない未来の事を想像するよりも、過去におこった事を想うほうが心が静まる。
横では、着付け方の人達が、今日の演目の着物を並べている。それを壁にかかった面たちがじっと見ている。

しばらく話を聞き、「今年は観客席の方で見ます。」と言って、話の輪を外れる。
狂言堂を出しなに、写真撮影用の腕章を受け取る。

Img_1937最初の演目は「羅生門」。
「都の南にある羅生門に鬼が住むという噂が有る。渡辺綱はそれを否定し、平井保昌はそれを認め口論となる。源頼光がそれを仲裁し、渡辺綱に立札を立てて来る様命じる。綱が羅生門に行き、立札を立てようとすると頭上から鬼が襲う。鬼は綱の兜をつかみ取り綱を食おうとするが、逆に綱に腕を切られ逃げて行く。渡辺綱は、鬼の腕を掲げ、意気揚々と戻って行く。」 謡曲や能狂言でも演じられる演目である。壬生系狂言に源頼光、渡辺綱、平井保昌のトリオが出て来る演目はこれ以外に「大江山」「土蜘蛛」があり。これらの話が庶民に好まれたことを示している。
狂言の途中に鬼が次々と通行人を襲い、食べてしまう場面がある。通称「クワレ」という場面だが、子供から大人の通行人まで4人が順番にでてきて、次々と鬼に食われてしまう様子は笑いを誘う。

Img_1979その次は「花折」。念仏狂言独特の笑いにあふれた演目。
「お寺の住持(坊さん)は、外出に際し新発意(若い僧)に、美しく咲いた庭の桜の番をさせるために『この花折るべからず』の札を付けさせ、花見客を寺内にいれることを禁じて行く。若い僧が鉦をたたき読経しているところへ、お供を連れた大尽が花見を頼むがことわられ、しかたなしに塀越しに花見を始める。大尽の飲む酒が欲しくてたまらない飲み助の若い僧は、塀越しにその酒をかすめとって飲み出す。しかし何回かはうまく行くが、最後にとうとうお供につかまり不承々寺内に入れ、酒盛りを始める。興に乗って若い僧は女の着物を着て踊り出すが、酒に酔い泥酔してしまう。大尽とお供は、これ幸いと桜の枝を折り持って帰える。
やがて、住持が戻り、折られた桜を見つけ、泥酔している若い僧を叩き起こし、追いかけ回して叱りつける。」と言う話。
この狂言、見ている方にとっては、面白おかしい内容だが、演じる方(特にお供と若い僧)は難しそう。掛け合いの要素も多いし、仕草も一つ々がメリハリを付けた形でないと、面白さが観客に伝わらない。そういう点では、今年は良かった。
花見の演目も念仏狂言には多い、「大原女」「道成寺」「花盗人」そして「花折」。花見はやはり昔から庶民に人気のある行楽だったのだろう。それにまつわるいろいろな出来事に、庶民の喜怒哀楽が現れている。念仏狂言はやはりこのような「やわらか物」が最も面白い。

Img_2050最後は「土蜘蛛」。この狂言において、最も人気のある演目である。ストーリーが派手で、土蜘蛛が糸を投げるという見せ場もある。このクモの糸、この糸の先に付いている、重りを財布に入れるとお金が貯まるとされていて、この演目が終わると、クモの糸の取り合いになる。
筋書きは先程の頼光、綱、保昌の3人トリオが土蜘蛛を退治する話。

今年は土蜘蛛さんサービスが良くて、クモの糸の量が多い。パーッ、パーッと右や左に糸を吐く。頼光なんかは、そのクモの糸に絡められ、まるでミイラ男。

最後に土蜘蛛をやっつけて、その面をとり、首をとったかに見せる演出は、わかっていても思わず拍手をしてしまう。

夜の部では、いつもの様に最終から二番目に「湯立」が演じられる。神事の湯立神楽が仏教の念仏狂言で演じられていることの不思議さ。昔は神も仏も同居していたのだなぁ。
そして最後は、「棒振り」。壬生系の狂言で唯これだけがセリフがはいる。演じた役者全てが素顔で舞台に立ち、六斎念仏の棒振りに合わせ「チョーハ、サッサイ」と掛け声をかける。一種の厄払いの儀式。

これで今年の狂言も全部終了。神泉苑のツツジも満開。しかし念仏狂言、毎年の事ながら興味は尽きない。保存会のみなさんご苦労様でした。

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