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2007年6月 3日 (日)

「EXHIBITION尼崎コレクション」京都工芸繊維大学

新しく見つかった「洛中洛外図屏風」が展示されていると聞いて、最終日だったが京都工芸繊維大学美術資料館で開催されていた「EXHIBITION尼崎コレクションー洛中洛外図から大阪万博までー」に行って来た。

Img_2598京都工繊大学は初めて行く。行ってみると思っていたより大きな敷地で迷ってしまった。なんとか学生さんに教えてもらい(土曜日だったせいか学生さんも少なかった)やっとたどりつけた。

この美術展は尼崎教育委員会が尼崎歴史博物館創立のため、尼崎に関する美術品を地元から収集したもの。今回はじめての公開らしい。何故その初公開の場所が京都工繊なのかは知らない。

集められた作品には、前述の洛中洛外図屏風や、江戸時代の絵画、初代尼崎市長で画家であった「櫻井忠剛」の作品とその友人であった「浅井忠」の油絵、そして明治のはじめからの博覧会のポスターや資料類である。

この美術展、チラシや展示リストも無いし、資料類もなく、もちろん写真撮影禁止だから記憶だけがたよりとなる。

まずは「洛中洛外図屏風」。6曲屏風1双で、金雲の部分が多く、保存状態は良い立派なもの。
この屏風は17世紀後半の作と考えられている。落款には「土佐重信」とあったが帰って手持ちの資料類を調べたが、この絵師のことはわからない。
この屏風の特徴は左雙に「聚楽第」と「二条城」が描かれている事。聚楽第は豊臣秀吉の京都での住居として天正14年(1586)から建築され、次の関白豊臣秀次に譲られたが、秀次の失脚とともに1595年取り壊された。現行の二条城は徳川家康により1601年から築城されたものである。よって現実的にはこの二つの建築物が同時に存在はしない。それがこの屏風ではあたかも同時に存在したかの様に描いてある。
また、この屏風の左右雙の下の部分には1588年に行われた「後陽成天皇」の聚楽第行幸が描かれており、秀吉をはじめ豊臣の諸大名がそれを向かえている様子が描かれている。
洛中洛外図屏風としては比較的新しい物であるだけに、内容的には過去の屏風を写した様な感じがする。二条城や行幸の様子は「歴博C本」といわれているものに似ている。また、過去の洛中洛外図の持っている人々の生活を描いた猥雑さやなまなましさは薄れている。そのかわり京都の当時の名所は細かく描かれており、ちょっとした観光案内屏風のような雰囲気が有る。
京都の街中にはいまは無いが当時は色々な「名所」があったことがわかる。たとえば三条大橋のふもとに「畜生塚」があったり、西院に城の様なものがあったり。このような洛中洛外図見ていて飽きない。

Img_amagasaki2続いてあったのが歌川國芳の浮世絵2枚。
上が「大物浦海底之図」
下が「大物浦平家の亡霊」
尼崎の沖合、大物浦で義経の一行が平家の亡霊によって遭難した場面。
國芳のおどろおどしさと、色使いの巧みさがよくわかる。
去年、今年と多くの浮世絵を見て来て國芳の「浮世絵」に強く惹かれている。幕末の世相をこれでもかという構図および色調で描くサービス精神に浮世絵の真髄を見る様な気がする。

Img_amagasaki3上の画の左の描かれている平家蟹。その甲羅にのり移った平家郎党達の怨念の表情の面白さ。また下の画の荒れ狂う波間に黒く漂う、平家の怨霊の不気味さ。

見ていて、平家物語の世界に引きずり込まれる。
この日、帰りしな早速岩波文庫の「平家物語」を買って来た。

その他目についたものは、久隅守景の娘である清原雪信の幾枚かの画。狩野派の雰囲気はあるが、女らしい筆使いで好感がもてた。
また、初めて見る絵師だが、月岡雪鼎の「宇治蛍狩り」も上品な感じのする画だった。

この「尼崎コレクション」展、入口にはこの資料館の常設展示物である古いフランス映画の大きなポスター(「昼顔」)やカッサンドルのポスターがあり、小部屋に入ると洛中洛外図があり、奥の部屋には江戸後期の森派の「猿」がいたり、二階へ行けば浅井忠のこってりとした「油絵」、そして明治からの「博覧会のポスター」ときれいに言えばバラエティーにとんだ内容、言葉を変えれば「ごっちゃまぜ」。
しかし、そのアンバランス観が非常におもしろい展覧会であった

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