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2007年6月22日 (金)

「パルマーイタリア美術、もう一つの都」 国立西洋美術館

「パルマ」、この街の名前を聞いて思い浮かぶのは、生ハム、パルメザンチーズ、スタンダールのパルムの僧院、そして中田英寿の属したサッカーチームがある街ぐらいだった。

Img_parma1東京へ来るちょっと前、雑誌でこの展覧会の事を知り、パルマがルネサンスの時代ローマ、フィレンツェ等と並ぶ芸術の都であった事、そしてルネサンスの巨匠コレッジョ、パルミジャニーノの作品が来ている事を知った。

東博のダヴィンチ、損保ジャパン美術館のペルジーノと合わせると、今東京はちょっとしたルネサンス美術の花盛り。

パルマはローマ時代に造られた街で、ローマからミラノ、ボローニャへ抜ける街道の中間点に有り交通の要所として古くから栄えた。位置的には長靴の形をした付け根に有り、フィレンツェの少し北側にある街。

歴史が有るだけに、古くからの教会も多く、その中に飾られている壁画などにもすばらしいものがある。16世紀初頭に、教皇領となり都市国家として発展し、16世紀から17世紀にかけて有名な芸術家が活躍し、「パルマ派」といわれる芸術様式を確立して行った。「パルマ派」の特徴としてはこの展覧会を見る限り、「古典主義」と「マニエリスム」にあるとされている。「マニエリスム」とはわかりにくい言葉だが、要するにラファエロ、ミケランジェロ等が確立した絵画の手法のこと。要するに日本でたとえれば、「狩野派の手法」みたいなものだと理解している。

Img_parma2これはコレッジョの「幼児キリストを礼拝する聖母」。

どこかの廃墟のようなところで、我が子キリストをいとおしむマリア。

背景の光の様子とマリアとキリストに当てられた光の描き方の違いが独特のコントラストを持って、この絵に深い印象を与える。茶色を基調とした色彩の柔らかさがマリアの慈愛をうまく表現している。ダ・ヴィンチの「受胎告知」と比べると主題のちがいもあるだろうが、「愛」に満ちあふれた画という感じがする。ふと、ラファエロの画を思い出す。

この「愛」。それは自分の子供に対する「母性愛」なのか、「神の子」に対する「敬虔な愛」なのか?キリスト教徒である当時のイタリアの人々にとっては「神」に対する「愛」がまず第一に感じられるのだろうが、異教徒である私には我が子に対する「母性愛」の方が強い様な気がする。

見ていて心が和らぐ絵である。

Img_parma3これはパルミジャニーノの「ルクレティア」。

パルミニジャニーノは官能的で、幻想的な絵を得意とした画家。ちょっと特異な雰囲気のある画を描いている。若くして亡くなったが、死ぬ間際は錬金術に没頭していたと伝えられている。

「ルクレティア」というのは、古代ローマの物語で、ルクレティアという女性が王の息子によって乱暴され、それから逃れるため自害したという話。

黒い背景に浮かび上がった、肌の色がすばらしい。そして高揚し赤くなった頬、耳たぶがこの女性の強い意志を表している。上目使いに見ているのは誰なんだろう?目付きの様子から、乱暴した相手とは思えない。神なんであろうか?

髪の毛や髪飾り、そして肩にかかるバックル、胸に深々と刺さった剣のつか等の細部も緻密に描かれており、それがこの絵の緊張感を増している。

思わず「ホ〜ッ」と感歎の声が出る画である。

Img_parma4_1この画は今回の東京美術展巡りで巡り会った強く印象に残った画の一つ。
パルトロメオ・スケドーニの「キリストの墓の前のマリア達」

光と色のコントラストがすばらしくで、劇的な雰囲気が見る者に強烈に伝わって来る。大きな画で3m×2m位有る。
はっきりとした輪郭線、白、紺、緑、赤、黄土色等の明快な色調。特に右側からの強烈な光に照らされる白の輝きがすごい。

キリストの復活を確認に来たマリア達に天使が天上を指差し、復活を告げる画面である。

スケドーニという画家は今回初めて知った。17世紀のイタリアにこれほど現代的な画を描く画家がいたなんて。世の中にはまだまだ知らない素晴らしい画家がいることを思い知らされた。

しかし、イタリア恐るべしである!!!!

多くの画を見、初めて知った画家達も多く、得る所の多い展覧会であった。
これ京都にも巡回すれば、きっと驚く人も多いだろう。

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