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2007年6月28日 (木)

「水と生きる 開館記念展Ⅱ」 サントリー美術館

赤坂見附にあったサントリー美術館が閉館され、六本木に新しくオープンした「東京ミッドタウン」内へ移され新たにオープンした。その開館記念展として「水と生きる」と題し、水に関連する、画、陶磁器、工芸等の名品が集められた展覧会が開催されている。
ビルの中に造られた美術館は、やはりその構造上の制限から、展示室の高さや、光源なんかが良くない例が多いのだが、さすがに当初よりこの美術館が入居することを前提として考えられていた為、そのような事も無く見やすい美術館になっている。
昔からサントリー美術館は「生活の中の美」という観点から色々な作品を収集しており、そのなかの一つにガラス器がある。今回その優品が多数展示されていた。いずれもがこの季節にピッタリのものである。

Img_suntory2これは江戸ガラスの「藍色ちろり」

深い藍色がすばらしいというよりも妖しい感じがする。また手ひねりの持ち手のひとつひとつの山が微妙に大きさを変えて独特のリズムを醸し出す。
注ぎ口の微妙な曲線、底から胴に掛けて伸び上がって来て張り出し、またそれが口元へ向かってすぼんで行く微妙さ。
ガラスの持つ冷たさ、緊張感等を内包しながらも、道具としての美しさを見せつける逸品である。

やはり、これで注ぐ冷酒としては、きりりとした辛口だろうか、それともちょっととろみがでて黄色みをおびた古酒だろうか。
しかし、受ける杯も難しそう。同じビードロでは芸がなさそうだし、薄手の京焼きか、朝鮮斑の唐津もいいかな?

Img_suntory1これは薩摩切子の「藍色船形鉢」。
これもきれいな藍色のガラス鉢。
船の先端には吉祥印の蝙蝠が彫られていて、船の艫には丸形陰陽文様が彫られている。
船の胴回りは切子独特ストロベリーダイアモンドのカット模様。
クリスタルの透明感と藍色との対比、また薩摩切子独特のぼかしが 美しく輝いている。

元は「杯洗」だが、やはり何か料理を盛りたい。しかしちょっと深いかな。
底の方に氷の砕いたのを敷いて、鱧や何かの洗いを盛るのは一般的かな。

Img_suntory3これも薩摩切子、「藍色酒瓶」。

薩摩切子は幕末、薩摩藩で作られたもの。10年間位しか作られなかったので残っているものは少ない。しかし、その完成された美しさ、またガラスの純度の高さで珍重されている。

透明のクリスタルに藍とか赤の色ガラスを貼付け、それをカットしていくことでこの独特の色調が生まれて来る。現在はその技術が復活されて、見慣れたものになっているが当時としては一級の技術であった。それに手仕事で行われていた為に、現在ものとは異なった柔らかさが感じられる。

この酒瓶にはやはり透明なお酒を入れたい。薩摩焼酎の古酒なんかいいんじゃないかなぁ。

ガラスだけではなく、広重の水にまつわる浮世絵や、水を模様とした小袖、鍋島等の陶磁器等も展示されており、我々の祖先が、水を尊び、水と戯れ、水を大事に扱い一つの文化的な基盤を作り上げて来たことが再認識できる面白いテーマのサントリーらしい展覧会であった。

また、あたらしいサントリー美術館だが展示ケースが見やすく、照明もよく考えられており良かったのだが、インテリアというか内部設計がもう一つ。木等を多様し和風強くを押し出しているのだが、茶色とか白の使い方が感覚的に浅いものになっている。隅健吾の設計だが非常に軽い感じがする。天井からつり下げた紐状のパーティションのオブジェ等も雰囲気としては軽すぎる感じがする。特に4階から3階へ降りる階段、女の人がヒールやミュールを履いて降りて来るとカンカンと高い音がホール中に響き渡る。あれはなんとかしてもらいたい。

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コメント

こんにちは!
私のブログにお越しいただいてありがとうございました。
切子の道具は本当に美しかったですね。
これが似合う「部屋」や「生活」ってどんなのだろうって想像しました。

京都にいらっしゃるのに東京の美術館にたくさんいっていらしてびっくりです。
またこちらにお邪魔します^^

投稿: はな | 2007年7月 4日 (水) 21時19分

はなさん
おいでやす。京都から関西の美術展等や京都の生活を主に書いてます。
たまに、刺激を求めて東京の美術展巡りをしていますが、眼は楽しみますが、体力的には疲れます。
また、東京の情報を求めて、ブログにおじゃましますので宜しくお願いします。

投稿: 好日 | 2007年7月 4日 (水) 23時19分

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