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2007年6月27日 (水)

「肉筆浮世絵のすべて(後期)」 出光美術館

浮世絵というとやはり東京が中心。京都ではなかなか見られない。よって東京へ来た時はなるべくみるようにしている。また東京で浮世絵を見ると、ちょっと雰囲気が変わる様な気がする。

Img_idemitu1_1去年位から、肉筆の浮世絵を見る機会が多かった。ボストン美術館の「江戸の誘惑」、ギメ美術館の名品、そして今回の出光美術館。しかし、「肉筆」とはウマイ言葉だ。浮世絵の持つ官能的な雰囲気、庶民の風俗を描いた猥雑な感じをうまく表現している言葉である。

まずはいった所で驚かされたのが「伝 菱川師宣」とされている「浄瑠璃芝居看板絵屏風」。
なんの芝居の場面絵か知らないが、「戦い」というか「出入り」というか殺伐とした場面がびっしりと描かれた屏風。中には胴をまっぷたつに切られた死体があったり、首をはねられたものがいたり、まるで岩佐又兵衛の世界。このような画、嫌いではないが頭から浮世絵の感じを吹き飛ばされた。
こんな芝居一度見てみたい。おもわず細部までじっくりと見てしまった。

そこを過ぎるといつもの浮世絵の世界。
展覧会は菱川派の風俗屏風絵から始まり、懐月堂派の反っくり返った美人画へと続き、浮世絵の変遷に従って名品が並んでいく。

Img_idemitu3これは勝川春章の「美人鑑賞図」。
手前の座敷に大きく7人の美女を配し、そこから奥の座敷を描いている。しかし、庭にかけての空間の描き方がアンバランス。特に右側の庭は非常にぎこちない。それにもかかわわず全体が明るい調子で、賑やかな感じの楽しい画である。

6人が案外シックな着物を来ているのに対して、一人赤い着物を来た娘が清々しい感じ。
見ている軸は「鶴」と「仙人」。なんか女性のサロンのような雰囲気。昔は美術館もないし、こんな感じで画を見ていたのだろう。そういえばこの展覧会も私のまわりは大方が女性・・・。

Img_idemitu5_1これは、あの酒井抱一の「遊女と禿図」。

見た時は、「歌川派」の誰かな?という感じだったが、名前を見てびっくり!!!
あの琳派の抱一ではないですか!

画自体はそんなに印象に残るものではないが、抱一がねぇ・・・この絵を描いたのですか??
たしかに、画を習い始めたのは「歌川派」の師匠であったというのは知っていたが、その画が残っているなんて思ってもいなかった。

これと京都の細見美術館にある「白蓮図」なんかを並べると、大変身した姿が見られ面白いのだが。
このような江戸文化の凝縮された浮世絵からはいった酒井抱一が、なぜ京都文化の華のような琳派へ変わって行ったのか興味の尽きない所である。

しかし、じっくりと見ればお腹の部分が肥えた遊女だな。前帯を強調するあまりお腹がでたのかなぁ。まあ、年代からいうと「お坊ちゃんのたしなみ」位の画だったんだろう。

Img_idemitu4これは歌川国芳の「役者夏之夜図」。

夏の夜、川端にそろった役者達といった感じだが、どうも様子がおかしい。
左側の4人と右側のグループがなにやら怪しい雰囲気。
あきらかに、たがいのグループの頭らしい人物が、「ガン」を飛ばし合っている。

お互い争う座長どうしが、偶然バッタリとこの川端で出くわしたのだろう。芝居はこの頃、江戸でもっとも人気のあった娯楽。その役者達が引くに引けない感じになれば、次に起るのはもう一つの江戸の華、「喧嘩」となるのは必須。
さて、この後どうなったことやら?

そんな江戸の生活が垣間みられる画である。

その他、鳥文斎栄之や宮川派の美人画、そして北斎の初公開の画等、肉筆浮世絵を堪能できる展覧会であった。
それと最後に京都の画家である「祗園井特(ぎおんせいとく)」の「虎御前と曾我五郎図屏風」が並んでいた。あいかわらず独特のあくの強い画であったが、関西では祗園井特は美人画の画家とされている。関西の美人画、関東の肉筆浮世絵これは同じとしてとらえられるのかなぁ?

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コメント

肉筆浮世絵、まとまったのをまた見たいです。
やはり浮世絵は「江戸」なのですね。
それにしても、好日さん、贅沢なご旅行です。

投稿: はたこ | 2007年6月28日 (木) 22時33分

はたこさんへ
「眼」は贅沢しましたが、体の方は相当疲れました。
特に食事は全くついてなく、2日目の夜なんか何処へ行っても予約で満杯で、テイクアウトのピザをホテルに持って帰って食べる始末でした。
全てうまく行くとはなかなか成らないものですね!
でも、そんなんが楽しいんですけど。

ですから、今回は食べ物に関する記事はありません。あしからず。

投稿: 好日 | 2007年6月29日 (金) 21時05分

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