« 祇園祭あれこれ07「還幸祭中御座巡行路」 | トップページ | 祇園祭あれこれ07「博物館の祇園祭」 »

2007年7月25日 (水)

祇園祭あれこれ07「還幸祭」

神輿に縄掛をしている間にも、額からポタポタと汗が玉となり落ちて行く。
今年初めての夏らしい日である。今日24日は「還幸祭」。17日御旅所へ運んだ八坂の神々を八坂神社へ遷す日。
祭りには必ず神を迎える「神幸祭」と神を送る「還幸祭」がある。どちらかというと「祭」の形としては「還幸祭」が主たるものとなる。祗園祭でも、祭りの主目的となる「神泉苑」への御霊会は「還幸祭」に組み入れられている。

Img_0021午後5時、輿丁たちが「カン鳴らし」(神輿の飾りを手に持ち踊りながら鳴らす)をしながら御旅所に集まって来る。

「ホイット、ホイット」の掛け声を掛けながら、「シャン、シャン」とカンを頭上高く振り上げ跳び回りながら進んで来る。

約400名近くの輿丁が集まったところで「担ぎ出し」。御旅所から抱えるように神輿を四条通りへ出す。
すぐに「御魂遷し」の神事が始まる。神主の「お〜〜っ」という低い一声が、ひざまずいた輿丁の上に響く。

御霊が神輿に遷ればその場で差上げと振りが始まる。

Img_0023「ホイット.ホイット」の掛け声とともに、神輿は青空の中へ高く差し上げられる。そして前後に激しく振られる。「ホイット、ホイット」、久し振りの青空を喜ぶかの様に神輿は舞い踊る。

その勢いのまま、寺町通に入り込む。路が狭くはなったが神輿はかまわず振りながら進む。「ホイット、ホイット」。子気味よいリズムに乗りながら、神輿の先頭を担ぐものは、蹴る様な足振りで神輿を進めて行く。

輿丁達の体からは汗が噴き出している。半纏も汗で濡れている。

Img_0028寺町から、高辻を抜けて烏丸通を北上する。途中「大政所」で神事を行い、暫しの休憩のあと、四条烏丸へ向かう。

四条烏丸の交差点では、差し回しを行う。
高く差し上げられた神輿は「回せ、舞わせ」の掛け声とともに、ゆっくりと回転をしだす。

折からの、西山からさす夕陽を真正面にうけて、飾ってある神鏡や鈴がキラキラ光り出す。
まるで光の玉が回っているかの様に光り出す。

それから神輿は四条大宮をめざし進んで行く。四条大宮では「丹波八坂太鼓」の社中が太鼓をならし神輿を迎えてくれる。勇壮な腹に響く和太鼓の音に踊らされる様に神輿は再び振り踊る。

乗っておられる「スサノヲノミコト」も一緒に踊り出すかの様子である。

Img_0033ここから神輿は狭い大宮通を神泉苑に向かう。このあたりから中御座神輿を担ぐ「三若神輿会」の地元となる。このあたりはまだ町家風の家も多く残り、家々の軒先には祭り提灯が飾られ、灯されている。夕闇の広がった薄暗い中を進む神輿を、家々の門先から人々が拝んでいる風景が続く。

神泉苑では僧侶により、お経が読まれる。平安の時代、都の疫病を祓うため、66本の剣鉾を建て御霊会をおこなったのが「祇園祭」の始まりとされている。
それ以降、疫神である八坂の神々を洛中に神輿で迎え、その神々を慰撫するために「山鉾」がだされるようになった。

神輿が神泉苑に向かうのも、この御霊会を引継ぐため。「仏と神が一緒になり、民の平安を願う」。神仏習合の一つの形である。

Img_0034神泉苑を出ると神輿は千本三条へまわり、ここから地元の三条商店街を抜ける。

さすが地元だけあり、神輿の振りにも一層の力がこもる。「ホイット、ホイット」の掛け声も高くなり、それがアーケードに響き、地元の人達の手拍子も激しく、ボルテージは上がって行く。

所々で、差し振りを繰り返しながら神輿は、三条黒門にある「御供社」に着く。
ここで輿丁は夕飯を食べる。輿丁が神輿の側を離れると同時に、地元の人達が神輿の側に寄って来る。
正面に回って、丁寧に拝む人や、小さな子供を神輿の側に担ぎ上げ記念撮影をする人。
地元だけあり、皆さん神輿に親しみと尊敬の気持ちをもっている。

「神輿弁当」を食べた輿丁達が戻って来ると、神輿は再び動き出す。
ここからは戻りの道中。他の「東御座神輿」も「西御座神輿」もすべてこの「御供社」を西の終点としてここから八坂さんへ戻って行く。

ひたすら神輿は三条通を東へ向かい、寺町から四条へ抜けて八坂神社を目指して行く。
四条大橋を越えると、洛中からはずれ、正面に八坂神社の西門が見えて来る。

八坂神社の石段下には、多くの人達が神輿の帰りを待っておられる。そのまえで最後の差し回しをおこなう。17日から1週間離れていた八坂神社へのお帰りである。
「回せ、舞わせ」の掛け声にあわせ回された神輿は、最後の一瞥を洛中の市街へ向ける。

さあ、ここからは八坂神社の境内、「拝殿回し」が待っている。

八坂神社南側の坂を駆け上がり、南門の前で、一度神輿を止め輿丁の息を整える。

Img_0037ここからは約30分間ほど、神輿は振りっぱなし。

大きな声で手を締め、気を引き締める。

一気に南門を潜り、境内にはいると直ちに拝殿の周りを振りながら3周する。毎周、拝殿の前に着くたびに差し振りを行う。「ホイット、ホイット」の掛け声とともに神輿を周回させて行くのだが、見物人も多く狭い中を細かく進めて行くのは大変むつかしい。廻しようによっては神輿をささえている胴方の輿丁に多くの負担がかかる。適度に入れ替わりながらしかもスムーズに廻して行くのは技の見せ所。

拝殿を3周回ると、正面に神輿をむけ、力の限り神輿を振回す。差し振り、担ぎながらの振りと、どんどんレパートリーを繰り出しながら今年の最後の神輿を楽しむ。
「ホイット、ホイット」の声が枯れるまで叫び続ける。輿丁も次々と変わりながらも決して神輿を担ぐ事を止めようとはしない。見物の方々も一緒に「ホイット、ホイット」の掛け声を掛け、手拍子を打ち、止める事を許さない。
多くの集まった人達が、神輿を中心に互いに共感し、感激をたかめる「祇園ワンダーランド」が出現する。

しかし、神輿の重さは確実に輿丁の体力を奪い去る。その永遠に続く世界もやがて終焉のときを迎える。やがて、神輿が動きを止める。その世界を惜しむかの様に、掛け声と手拍子だけが神社の境内に響き渡る。

今年も素晴らしい神輿だった。多くの人と素晴らしい時間を共有できた。「スサノヲノミコト」も満足されたであろう。

これから大文字にかけては、京都は油照りの暑い日が続く。それに打ち勝つ祭りが出来た。
輿丁の方々や関係者のみなさんご苦労様でした。また見物の方々もありがとうございました。

|

« 祇園祭あれこれ07「還幸祭中御座巡行路」 | トップページ | 祇園祭あれこれ07「博物館の祇園祭」 »

コメント

 三条商店街を通勤経路にするようになって5年。この時期になると商店街のあちらこちらに「7月○日は祇園祭のお神輿が通るので、自転車を置くな」という旨の張り紙があちらこちらにペタペタ貼られているのを不思議に思っていました。しかも、規制時間は夕方から夜中!(だからといって、立ち止まって読んだことはなかったのです)

 来年は御供社へ行きたいです。

投稿: ごうやん | 2007年7月26日 (木) 17時14分

ごうやんさんへ
来年は是非「御供社」で、神輿を拝んでください。
お子様も一緒に来られて、記念撮影なんかをどうぞ!
夏休みの思い出の一つになると思います。
また、真近で神輿の振り等を楽しみ、一緒に手拍子なんかをしてください。(ただし、危なくない所まで離れてどうぞ。)

当日は三条通は自転車通行不可となりますのであしからず。

投稿: 好日 | 2007年7月26日 (木) 18時58分

わたしが見せていただいたのは、御神輿の長い経路のごく一部ですが、記事を読んで、追体験できました。

御供社など、よく前は通っても中に入ってみたことのない場所も多いです。一度訪ねてみたいと思いました。

来年は綿密な計画を練って、参加しなければ・・・。お祭りとは、「マストな行事」であるとわたしは位置づけていますが、楽しまなければもったいないですからね!

投稿: はたこ | 2007年7月26日 (木) 23時08分

はたこさんへ
祭りは、祀られるものも必要ならば、祀る者も必要なものです。両者が互いに呼応してはじめてすばらしいものになるのです。今回、祗園祭に山鉾を見て回ったり、御弁当食べたり(無理矢理ですが)、御神輿追いかけたり、色々と参加されたのは良かったと思いますよ。

来年の計画、御助けしますのでなんなりと尋ねてください。

投稿: 好日 | 2007年7月27日 (金) 21時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/95018/7277004

この記事へのトラックバック一覧です: 祇園祭あれこれ07「還幸祭」:

« 祇園祭あれこれ07「還幸祭中御座巡行路」 | トップページ | 祇園祭あれこれ07「博物館の祇園祭」 »