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2007年7月 4日 (水)

梔子の花(くちなしのはな)

一年のうち最も日の長い時期だといっても、さすがに7時近くになるとあたりは急に暗くなって行く。

Img_2969雨上がりの空の下、また降り出すのではないかという思いから、いつもと違う小路に入り、帰りの道を急いだ。

突然,異なった空間にまぎれ込んだ様に濃い甘い匂いに包まれた。

立ち止まり、匂いの流れて来る方向に顔を向けると路に繋がる路地の暗闇から、大きな白い花が3つ4っつ、夢の中に咲いているかの様にぼんやりと浮かび上がっていた。

「梔子の花」である。

6月の後半から、この7月にかけて、いろんな所でこの匂いは幾度となく出会ったが、このように強い匂いではなかった。
雨上がりは強く匂うと聞いていたが、ちょうどそれに出会ったみたい。

この匂いは魅力的。甘く、官能的で、一種の麻薬的な感じがする。柔らかく体全体を包み込みとろけさせる様な感じ。これを表す近い言葉は「爛熟」という感じかな。ある意味で、危険な感じのする匂いである。
しかし、好きである。

人間の五感の中で、視覚は一度脳の中で「認知」という動きをしてから、記憶なり、心の中に伝わって来るが、嗅覚というのは直接記憶なり心の中に伝わって来る感じがする。

このときの場合も、「以前この匂いを嗅いだ時こんなことがあったな」と思い出す前に、パッパッとフラッシュバックのように頭の中にイメージが浮かぶ。
それは熱帯みたいな場所で、緑に囲まれた薄暗い中に大きな花が咲いている風景。画でいうと中村一村の奄美の画や、ルソーのジャングルの画の様な感じ。

それから眼が「梔子の花」を見つけ、それを認識し、イメージのなかの大きな花が梔子の白い花と変わる。

そして、「梔子の花」にまつわる、個人的な思いでが浮かび上がって来る。

ほんの一瞬のことだが、こういう順序で花を見ている自分に気付く。
匂いというのは、なんかものすごい原始的な感覚をよびおこす。特に洗練されていない原始的な匂いほど私の場合その感覚が強いように思える。

2〜3歩進むと、匂いも薄れいつもの世界に戻って来た。
降り止んでいた雨も、また振り出し、顔にポツポツ雨粒が当たって来た。

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コメント

わたしも、くちなしの香りが大好きです。あの真っ白でちょっと肉厚な花びらの感じと香りがよく合っているような気もします。

この香りをかぐと、わたしはいつも、子供のころに食べた何かとてもおいしいものを思い出すのです。それが何かはまだ思い出せていないのですが・・・。

投稿: はたこ | 2007年7月 5日 (木) 23時06分

はたこさんへ
梔子の花の匂いによって思い出される事も、人によって様々ですね。しかし「おいしいもの」とは、はたこさんらしい!!

ゆっくりとその「おいしいもの」を思い出してください。そして、思い出されたらまた教えてください。

五感から受け入れた感覚を大事にして、感性豊かな日々を送りたいものですね。

投稿: 好日 | 2007年7月 6日 (金) 22時27分

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