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2007年9月23日 (日)

「美麗 院政期の絵画」奈良国立博物館(その2)

第2章は「説話絵と装飾経」として、この院政の時期に華麗なまでに装飾された教典が展示されている。

Img_nara21_2これは四天王寺の「扇面法華経冊子」(国宝)。

扇の形をした料紙に下絵を描きその上に法華経を写経したもの。画像で見ると扇の様にパタパタと畳める様に思えるが、そうではなく半分の位置から本の様にめくっていく構造になっている。

画像の下絵の題材は「栗拾い」。これからわかるように冊子の下絵と写経の内容が一致するものではない。その描かれている下絵は貴族を主としたものから、庶民の生活を描いたものまでバラエティーに富んでいる。

題材に合わす様にこの料紙は雲母引きの上に金銀を散りばめたあでやかな上にちょっと愛らしい筆遣い描かれている。

その中に描かれている人物の顔つきを見ると、「源氏物語」等の絵巻物に描かれている「引目鉤鼻」の面長の顔つきよりももう少し丸みを帯びた顔つきで、つんとすました感じよりももうちょっと庶民的な感じがする。この冊子がなぜ四天王寺に納められたか詳しい事はわからないが、大阪の雰囲気は平安のこの頃からこんな感じだったのかな?とついおもってしまう。

Img_nara22これは「平家納経」(国宝)。

ここ1〜2年、「平家納経」を展覧会で見る事が多い。厳島神社が台風の被害に会ってから外へ出て来ることが多くなった。やはり、厳島神社の中では稼ぎ頭なんだろう。しかし、いろいろと見られる事はこちらとしては嬉しい事。

「平家納経」の展示は大体が見返絵が中心になっている。見返絵というのは経の最初にある経の内容を示したもの。左図は「平家納経 提婆品」の見返絵。龍女が大日如来に宝珠を捧げている絵。平家の龍神信仰を示すものとして有名な見返絵である。

しかし、いつも見返絵よりも惹かれるのは料紙。この「提婆品」だけではなく「平家納経」の料紙は本当にすばらしい。それも、それが表裏。

さすが栄華をきわめた平家一門の納めた経だけ有り、この料紙、 砂子・切箔の多様さとその効果的な用い方、金銀の微塵砂子、大小さまざまの切箔など贅沢につくられている。その微妙な凸凹が光線を乱反射し、表面に独得の輝きをもたせるようになっている。このような時代を経た銀は通常やけて、紫色に変色するものであるが、殆ど変色せずに当初の美しい銀色を保っているのは、この経が宝物として大事に保存されたからであろう。

また料紙は比較的厚手ではりが有り、ケースの上からみていても質感を力強いものとしている。

経文は金・紺青・緑青と料紙の色の変化に応じて書き分けている。そのセンスの良さは一つの頂点である。

これらの料紙の美しさを見ているといつも思い出すのは、琳派の俵屋宗達の事。17世紀の初め、宗達はこの「平家納経」の修復に携わっている。この作業を終えると、突然宗達はあの優美な琳派の絵を描き出す。たしかに「平家納経」のあでやかさときらびやかさは後の琳派へと継承されているのである。

その他、この章には、奥州藤原家が残した「金銀交書一切経(清衡経)」(国宝)、大和文華館蔵の「法華経」(国宝)等またまた国宝がずらり。

*「美麗 院政期の絵画」
 奈良国立博物館
 2007.09.01〜9.30  (前期・後期により展示替え有り)

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