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2007年9月 8日 (土)

「鶴図下絵三十六歌仙和歌巻」京博常設展

9月の京都国立博物館の常設展に本阿弥光悦・俵屋宗達の「鶴図下絵三十六歌仙和歌巻」が展示されている。
約15m位の巻物全図が見られる様になっている。巻物の展示はこうでなくては!

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この巻物は俵屋宗達が描いた鶴の画の上に、本阿弥光悦が36歌仙の歌を書いたもの。宗達の画の動きと光悦の字のリズムが重なった、見事な作品である。

宗達の鶴は初め岸辺に佇む群れからはじまる。何か近づいて来るものを見つめるかの様に10匹ほどの鶴があちらのの方向を見ている。銀泥で描かれた胴体に金泥の嘴、足の線が美しい。

光悦の歌は柿本人磨呂から始まる。
「ほのぼのと明石の浦の朝ぎりに島がくれ行く舟をしぞ思ふ」と書いてあると聞いているが、字は所々が認識できるぐらいで私には読めない。
しかし、形として見る字(書)は美しく、流れる様なリズム感が感じられる。

それから鶴達は空を舞い始める。高く低く伸び伸びと空を舞う。その鶴の軽やかな動きに合わせるかの様に、光悦の字も自由奔放な感じで舞う様に続いて行く。

そうして続く巻物の中でクライマックスが訪れる。鶴達が何かに驚いた様に突然飛び立って行く。今まで静かに続いていた物語に、突然バタバタとする羽音が聞こえて来る様な感じ。
歌の方は紀貫之の「白露も時雨もいたくもる山は下葉残らず色づきにけり」から伊勢の「三輪の山いかにまち見む年ふともたづぬる人もあらじとおもへば」と続く。飛び上がる鶴に合わす様に光悦の字も飛び上がる様な力のある字が見られる。

Imgkyohaku2

宗達の画、いろいろな作品を見ていく程その素晴らしさに魅入られる。見る側のこちらが歳をとって行くに連れて、ますますその作品の魅力は大きくなる。どの様な魅力が大きくなるのかということを具体的に示す事は難しいが、見た後の満足感は確実に大きくなっていく。
同じ琳派の光琳と比べると、光琳は「うまいなぁ」という感想をもつが、その感想の裏には「光琳のねらいにはまったなぁ」という気持ちが残る。
しかし、宗達の画に対する「うまいなぁ!」には、ただ単に「参りました!あなたは天才です!」という尊敬の気持ちしか持たない。画の持つ精神性とか作者の意図とか考える前に画に圧倒される。

そんな宗達の「風神雷神図屏風」も今常設展で展示されている。また宗達の工房で作られたとされる伊年印の「草花図屏風」等もあり、宗達の魅力にどっぷりと浸れる9月の常設展である。

*「鶴図下絵三十六歌仙和歌巻」「風神雷神図屏風」
 京都国立博物館 常設展
 2007.9.5〜2007.9.30

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コメント

こんにちは。
以前サントリー美術館でみたことあります。
図録表紙カバーがこの巻物の一部でした。
ところで風神雷神図の常設展ということですが
常設展示、いつ行っても観る事が出来るということでしょうか?
それだと非常に嬉しいのですが。

投稿: ジバゴ | 2007年9月16日 (日) 13時35分

ジバゴさんへ
残念ながら「風神雷神図屏風」の常設展示は、9月5日から30日までの展示です。この期間でしたら休館日(毎週月曜日※ただし、月曜日が祝日又は振替休日となる場合は開館し、翌火曜日)以外は見られます。国宝ですので展示期間が制限されており、この機会をのがすとまたしばらく見られないと思います。(建仁寺に常にあるのは複製です。)
訪れる人も少ないので、時間に依っては独占できますよ。

投稿: 好日 | 2007年9月16日 (日) 22時15分

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