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2008年1月10日 (木)

「BIOMBO展 阿国歌舞伎図屏風」 大阪市立美術館

これは四条河原で踊る「阿国歌舞伎」を描いた「阿国歌舞伎図屏風」。
「阿国歌舞伎」を描いた画はいくつかあるが、これは京博本。もっとも古い画といわれている。

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屏風左側3面

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屏風右側3面

この屏風、京博の館蔵品であるが、傷みがひどいせいか常設展にもあまりでてこない。
今回の展覧会で見たかった作品の一つ。

舞台に踊る「阿国」とそれを楽しそうに観ている観客達が描かれている。

細かい所を見ていくと、まず左端には観客を運んできた駕篭舁が暇そうに客を待っている。
その横には、傾いた若者が、女の子にちょっかいを出している。この辺の雰囲気、現在のコンサートなんかの雰囲気と変わらへん。

舞台の上では囃子方達が並んでいるが、まだ三味線は使われていない。太鼓と小鼓のみ。
そして演じるのは男装した阿国と従者の猿若、そして遊女。よく言われる「茶屋踊り」でしょう。

舞台の下では、毛氈をひいて男も女も、武士も町人も阿国の「傾く(かぶく)」様子を眺めている。
中には、重箱を持って来て、弁当を食べながら観ている連中も居る。芝居と弁当という組み合わせこの頃からあったんだなぁ。

右側では桟敷席が設けられており、そこにはちょっと高貴な様子の人達も観に来ている。
ここで面白いのは、所々観客に、顔を隠す覆いや、扇子をかざしてその影からみてる者がいること。
これは中世に流行った風習で、異形なものや常とは違う物事なんかを観たり、遭遇したりしたときに行う仕草。自分とは違う世界と自分の世界との結界をつくるためこの様な仕草をしていたらしい。これらの仕草は「洛中洛外図」なんかでもよく見られる。(詳しくは網野先生の「異形の王権」に記述されている。)

小屋の外では、露店の店が出ている。餅か団子みたいな物を焼いて打っている様子。よく見ると壺からタレのようなものを塗っている。みたらし団子かあぶり餅みたいなものだったのでしょう。

まぁ、このように当時の四条河原の賑わいを金地に銀の雲をなびかせ、丁寧に描かれている屏風で、見飽きる事が無い。

Okuniこれは「阿国」を拡大した図。案外大柄な様子である。
四条川端に立っているブロンズ像とはちょっと雰囲気が違う。

よく歌舞伎の解説本などに、「出雲の阿国がはじめた歌舞伎」とさら〜っと書いてあるが、実際はこの屏風に描かれている踊りがそのまま今の歌舞伎になったのではではない。

「阿国」の始めた踊りというのは、この頃はやっていた「念仏踊り」や「風流踊り」に男装した女性が踊るという点とストーリーを持った内容であったという点をつけくわえたもの。今で言う歌謡ショウ的なものだったと考えられている。しかし、当時の人達には、説法臭い内容でなく、茶屋の様子等が垣間みられる色気のある話だった点が受けてやんやの喝采を受けた。

この阿国の踊りはその後「女郎歌舞伎」や「若衆歌舞伎」と成って行き、その「傾く」という要素が強調され、幾度の禁止令をかいくぐって、「野郎歌舞伎」となり、阿国とは逆の男性が女装する「女形」を登場させ、浄瑠璃なんかの要素もいれて、今の「歌舞伎」の様式となっていった。

桃山から江戸の初めの京都の活き々とした様子を知らしめる楽しい屏風である。

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