「京の鳥瞰図」 京都市歴史資料館
寺町通を歩いていて京都市歴史資料館の前を通ると、「京の鳥瞰図」と書いた看板が見えた。
京都盆地特有の底冷えにさらされ閉口していたからさっそく入って行った。
「鳥瞰図」とは、文字通り空の高い所に飛ぶ鳥の眼からみた情景。そしてそれにデフォルメを付けて描いているから、普通の地図よりも感覚的には土地勘みたいなものが得やすい。
考えてみれば、日本ではこのような手法をとって描かれたものが古くからある。平安時代から室町時代に多く描かれた「宮曼荼羅」や「参詣曼荼羅」。また絵巻物も多くの場面で高い視点で描かれている。そして「洛中洛外図屏風」では雲を越えた位置からなめまわすように情景を描いている。
今回の鳥瞰図は江戸中期以降から昭和の初めまでの20点程。
面白かったものは
「モンタヌス都の図」
オランダ人のモンタヌスという人が「日本誌」という本の中で描いた京都の図。銅版画の様な感じで京都が中世ヨーロッパの城塞都市の様に描かれている。それもそのはずモンタヌスは日本に来た事も無く、いろんな資料に基づいて描いた。「内裏」が「Dairo」になってたり、「ズボヤマ」という山が描かれたり、どこの京都かなと思ってしまった。
「西川通線路新開図」
幕末に開通した西高瀬川。西高瀬川といっても知らない人が多いと思うが、嵐山から分岐して千本三条まで通じ、また千本三条から下鳥羽へ続いた運河の図。今は暗渠になったり、どぶ川みたいになったりしているがこの頃には京都に物資を運ぶ重要な水路であった。千本三条に近いところに住んでいるだけに興味津々。
これは吉田初三郎の「叡山頂上一目八方鳥瞰図」(大正15年作)。比叡山の頂上から北は琵琶湖を越えて北陸の山々まで、南は京都を越えてはるか大阪湾まで、東は富士山までを360度見渡した鳥瞰図。現在河原町六角の京宝会館の建設現場の壁面に描かれているので、見た事のある人も多いでしょう。
なかなかユニークな視点。発想がおもしろいなぁ。しかしこの画をみて、はるか大阪湾の海の景色や富士山を見付けると思わずニヤーッとしてしまう。人をくった面白さ。
吉田初三郎は解説のパンフレットによると
「吉田初三郎(1884〜1955)は京都に生まれ、友禅図案家でしたが、洋画の技法を学び独特の鳥瞰図を生み出しました、大正から昭和初期にかけて各地の観光鳥瞰図を手がけ、のちには、『大正の広重』と呼ばれる様になりました。」とある。
ユニークな画家がいたものである。
吉田初三郎の鳥瞰図は、これ以外にも5点程展示されていたが、どれもが美しく、楽しめる鳥瞰図であった。
人間、「一度は鳥になりたい」と思うそうだが、その欲望を簡単に実現してくれるこれらの画(地図)。
見ていてほのぼのとし、冷えた体が少し暖かくなったような気がした。
*テーマ展「京の鳥瞰図」 京都市歴史資料館
京都市上京区寺町通丸太町上る
会期 : 4月6日まで
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