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2008年1月15日 (火)

「若冲を愉しむ」 京都国立博物館(常設展)

毎年この時期の京博ではお正月らしい作品を並べた展示を行うのだが、何故か今年は「若冲」の小特集をやっている。子年だから、細見美術館の「鼠婚礼図」でも借りて来るのかなと思っていたら、さすがに京博、館蔵の作品だけで9点を揃えている。

Jyakutyuu1まずは「百犬図」。

実は「五十八犬図」。(数えたりする事好きです。)

ころころとした小犬、というよりも「わんこ」が屈託も無くじゃれあっている。

中には、こちらに向かっておいでおいでをしている招き犬もいるし、あおむけになってこちらを見ている犬もいる。

何回見てもそうなんだが、この画、はじめはかわいいいなぁと思って見ているが、そのうちに落ち着かない気持ちになってくる。

ひとつの理由はわんこ達の塊の構成。なにか落ち着かない並び方である。ちょっと遠くからぼんやりとながめると、なにか謎解き文字のような感じがする。

思い出せない事を、思い出そうとする様なもどかしさを感じて来る。

もう一つはこちらを見ているわんこ達の眼。
くりくりした眼だが、何故か無機的というか曇りの無い眼。
曇った眼をもつ私からはその表情が読めない。

せまる様な感じがだんだんこちらの気持ちを不安定にする。

不思議な画である。

Jyakutyuu_4

これは「石灯籠図屏風」。六曲一双の屏風。画像は右雙。

大きい屏風だから、常設にはあまりでてこない。

若冲の画としては珍しい構成である。西洋の遠近画の手法と南画の点描の手法が用いられている。

この様な画法は、多分交流の有った池大雅や木村蒹葭堂あたりより学んできたのかなぁ?
細かい点描で描かれた石灯籠や石柵の質感と薄墨でなだらかに描かれた山の稜線がすばらしい。

「若冲」らしくない「若冲」であるが、そこは凝り性の「若冲」。ちゃんといつもの「若冲」が顔を出している。

左下にある石灯籠、なんだか虫が食ったみたいな跡がある。右端の松の木を支えている添え木の節もじっと見れば、なんか奇妙な若冲ワールド。おもしろいな。

Jyakutyuu2若冲ワールドが顔を出した所で、その典型的な「鶏頭蟷螂図(部分)」も出ていた。

奇妙に一回転した鶏頭の茎の先に、真っ赤というよりも朱色と黄色に染まった花が咲いている。

この花も、普通の花のようではなく、なんか夕焼けの空にポッカリと浮かんだ雲のような様子。

その花の上に浮かんだ様乗り、こちらに鎌を振り上げた蟷螂。若冲らしく細密に描いてある。

この画の頂点に立つ蟷螂、見る者を威嚇する様な威厳がある。

その他には、
「果蔬涅槃図」、雪梅雄鶏図 両足院蔵、燕子花小禽図
海宝寺旧蔵 群鶏図障壁画 、群鶏図押絵貼屏風、群鶏図押絵貼屏風 金戒光明寺蔵

若冲好きの人にとっては京博からの愉しめる「お年玉」。

*京都国立博物館 常設展 「若冲を愉しむ」
 2008年1月2日から2月3日まで

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コメント

うちんとこの手描きアイテムにも、この絵のちょうど中央に3頭かたまってる犬のんがあります。
職人さんがリアルにかかはるし、無表情な目がどうもなぁと思てるんですが。ファンなら一枚いかがですか?(笑)

同じ犬でも、応挙の狗子のほうが愛らしいですね。でも、やっぱり一番は雪佳です!

投稿: ぽん | 2008年1月19日 (土) 16時40分

ぼんさんへ
招き犬の部分のアロハもちょっと異様で面白そうですね。
また、夏のアロハに「雪中錦鶏図」や「「雪中雄鶏図」等のあの重たそうな雪を描いたのも面白そうかなと思ってます。

応挙、芦雪の狗子は少し太り気味です。
雪佳はんのわんこもきれいですが、渋い所で、宗達の「狗子図」がいいですね。

投稿: 好日 | 2008年1月21日 (月) 02時01分

ここの常展も結構充実してますよね~
ちょこちょこ若冲は以前に見に行っていたので、
今回は見送りました。

若冲の絵はすこし静物画的な、文様的なというか、
本当に生きた絵なのかと思う絵がありますね。
やはり、生き生きとした鶏の絵が私は好きなのですが。

投稿: kodama | 2008年1月29日 (火) 01時24分

kodamaさんへ
コメントいただいたように、若冲の画には情景を切り取ったような、ストップモーションの1枚の画のような冷たさが感じることがあります。あれだけ自然界の動植物を描きながら、風を感じる画はありません。
それが若冲独特の「奇妙な世界」を作っていると思ってます。
日本の画というのは、温度を感じさせたり、空気の流れを感じさせたり、受手(見る側)に鑑賞する余地を多くとったものや、受け手の情感にゆだねた画が多いと思います。そのなかで受け手を拒否するような若冲の画はやはり特異だと思います。その辺が人気の出た一つの理由かな?

若冲の色彩画もいいですが、わたしは水墨画に惹かれています。


投稿: 好日 | 2008年1月29日 (火) 22時15分

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前記事で取り上げた、曽我蕭白「群仙図屏風」の実物も堪能。 ディテールのカキコミ。情報量がスゴイ。 奔放、大胆、斬新、前衛、奇想。それでいて同時に、細かい実に丁寧な仕事をしてらっしゃる。   曽我蕭白 と対決していたのは、伊藤若冲。 誰がなんと言おうと、今回の企画 (巨匠 24人 12組 の対決)、この 怪人・鬼才 二人の勝負が最大の目玉。ここのこのコーナーにトドメを指します。... [続きを読む]

受信: 2008年8月10日 (日) 11時57分

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