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2008年2月17日 (日)

「心のふるさと」 京都市美術館

京都市美術館のコレクション展「心のふるさと」に行って来た。

京都市美術館の所蔵する日本画、洋画の中から「風景画」130点を集めたもの。京都の美術館だけ有って、約半分が京都の風景。いつも見慣れている風景が次から次へと出て来る。

Img_kyoubi1まずは京都の北、大原から。小松均の「夏山」。

小松の画室の正面に見える大原の東側の山を描いたもの。

小松独特の力強い黒を基調とした山に、金泥で描かれた山肌が印象的。
手前に広がるのは、小松自身が耕していた田んぼ。

小松はこの地で、自給自足のような生活をおくりながら、真摯に画と向き合った。

この黒い威風堂々とした山容に表された力強さの中に、自分の画に対する確固した自信のようなものが伺い知れる。

強い絵である。

Img_kyoubi6次は洛東。浅井忠の「若王寺風景」。

水彩画の風景画だが、油絵とはまた違った淡々とした筆運びが軽やかな気持ちにさせる。

浅井忠はヨーロッパから帰国後、京都に居を構え、関西の洋画界を引っ張っていった人物。
彼の開いた、「関西美術院」からは安井曾太郎、梅原龍三郎らが育っていった。

浅井忠の画、特に水彩画においては日本画の要素みたいなものを強く感じる。線の柔らかさ、色調の微妙さ、そして題材が非常に日本画に近い。
この美術展では日本画と洋画を区別する事無く並べている。
こうやって見ると、日本画とも言えるような感じである。

光と緑の綾なす古の風景が、懐かしい感覚を思い起こす。

Img_kyoubi2洛東を南に下がって、これは宇田荻邨の「清水寺」。

ちょうど今位の季節かな、吹雪に煙り白く雪化粧した清水寺。

白く広がる清水寺の大屋根がこんなに大きなものだったのかあらためて気付かされる。

内陣の灯りは黄金色にぼんやりと輝いている。
静謐で凍る様な外気と比べ、内陣の仏が居る場所の暖かそうな様子。

蒼白にまとめられた奇麗な風景。京都の冬を見事に描いた優品。

Img_kyoubi3洛西に移り、落合朗風の「梅ヶ畑の麦秋」。

梅ヶ畑というのは紅葉で有名な高雄あたりの地。
麦秋というから5月頃の風景かな。
手前に広がる木は葉の表と裏とで色が異なっている。表は新緑の緑だが裏は黄色を帯びている。
桑の木かなんかだろうか?五月の風に吹かれて表と裏がヒラヒラと。

農家の庭先では刈り取った麦を脱穀している様子。絣のもんぺの色と黄金色の麦のコントラストが美しい。

何故か、庭に七面鳥が放されている。愉快だなぁ

日本画には珍しく、非常に明るい色の組み合わせで構成されている。目に鮮やか。
昭和初期のあの時代に、このような明るい画が描かれた事が不思議。

Img_kyoubi4最後は京都以外の土地の風景から。

これは麻田鷹司の「那智の滝」。麻田鷹司は昨年向かいの京都国立近代美術館で回顧展が開催された麻田浩の兄。

麻田浩も同じ「御滝図(兄に)」という那智の滝の画を描いていた。

画の様子は異なるが、二人とも那智の滝のもつ自然の神聖な力と自然の持つ雄大さを描いている。
表現の仕方は異なっても、表現したかった事は同じなんだなぁ。

画家の色々な想いが生み出す「風景画」。特に見慣れた風景の中から、画家がキャンパスに切り取った情景を見ていると、その場所を切り取った画家の意思が感じられて面白かった。

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コメント

好日さん、こんばんは。

この企画展のチラシを手にして、行こうかどうか迷っていたところです。
好日さんの日記を読んで、ぜひ行こうと思いました。
見覚えのある京都の風景、作者たちはどんな風に描いているのか、
とても楽しみです。

今週末一泊二日の慌ただしい旅ですが、ぜひ岡崎に足を伸ばそうと
思います。最近の岡崎周辺は、飲食店も充実していますね。

投稿: nao-mi | 2008年2月18日 (月) 22時50分

nao-mi さんへ
ブログに載せた以外にも、武藤彰の「洛北の秋」、池田遥邨の「南禅寺」、藤島武二の「神戸港の朝」、須田国太郎の「葛城山」、秋野不矩の「裏町」等見所一杯です。

美術館で楽しんだ後は、和定食の「十両」か、オ・タン・ペルデュのランチボックスか、ラ・ヴァチュールのタルト・タタンかな?

「源氏絵と雅の系譜」が開催されている、細見美術館でイタリア料理というのもありますね。

ただし、寒いですよ!

投稿: 好日 | 2008年2月19日 (火) 21時13分

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