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2008年6月13日 (金)

「うつわ考」 京都市美術館

展示室にズラーっと並んだうつわ達。かれらは何を待っているのだろう?
水か、酒か、籾か、花か、それとも訪ずれる者のたおやかな視線だろうか?

Img_utuwa1<「うつわ」とは、「ウツ(「空」や「内」、「虚」)と「ワ(輪)」と合わせた語だとされます。内部が空っぽの輪のような形のもの、空っぽであるからこそ、そこに何か大切なものを収めるための容れ物という意味がこめられていると思われます。>

美術館のこの解説文を読んでそんな風に思った。

京都市美術館のコレクション展、平成12頃から毎年3〜4回位、いろいろなテーマで開催されており、当初は並べるだけの感があったが、ここ2年程はテーマの選び方もよく、解説文も面白くなっている。

今回のテーマは「うつわ」。明治から現在にかけての京焼の作品群。平成18年に京博で開催された「京焼展」の明治以降を補完するような内容になっている。

そんな中から目についたものを。

Img_utuwa3これは清水六兵衛(五代)の「大礼磁仙果文花瓶」。

大きさは60センチほどあり、なかなか存在感のある花瓶。

淡い桃色の地の上に、白土にて鸚鵡の群れが描かれている。
寄り添う様に群れる姿がほほえましい。

画は貼付けか彫り出しかわからないが、地の桃色の透けぐわいが微妙な陰翳となり上品な花瓶となっている。

五代目の六兵衛さんこのほかにも茶碗がでていたが、大きな作品から小さなものまで丁寧なつくりで京焼らしい柔らかく上品な雰囲気が有る。

Img_utuwa4続いては河井寛次郎の「花文扁壺」

薄い鼠色の地に河合寛次郎独特の単純でのびやかな草花文が広がっている。

この壺が作られた頃(昭和15年)、河合は民芸運動に傾注しており、この壺にも呉須のようなぼってりとした釉薬、単純な文様、鉄釉の口取り、単純なフォルム等にその影響が見られる。
しかし、作品の持つキレや存在感はやはり京都の焼き物だなぁという感じがする。

その他、画像は無いが心惹かれた作品は、
清水卯一の「鉄耀扁壺 やなぎ」。
独特の釉薬の使い方とフォルムの豊かさがよかった。

竹内栖鳳と楽惺入の「白梅図茶碗」「新春梅図案椀」。
両者とも少し小振りのフォルムが掌に包み込んだとき心地よさそう。栖鳳の梅の図案も清楚だなぁ。
こんな茶碗で、早春の梅の下で喫む野点のお茶はさぞすがすがしそう。

河合卯之助の向附や高杯の小品も、京料理によく合いそうでいい感じ。

オブジェのセクションで目についたのは坪井明日香の「パリに残したロープから、マリー橋の人達」。
深い黒色の人形に金で彩色されたローブやスカートの模様がシックだな。

Img_utuwa5工芸のセクションからは神坂雪佳の「漆画人物祭礼之図飾箱」。

六角の布目の地に大きく獅子舞が描かれている。その獅子のユーモラスな顔付が祭りの華やかな雰囲気をを表し、それを楽しむ人々の幸せそうな顔が印象的。上部に描かれているお囃子の画も楽しそうで軽やかな音色が聞こえて来そう。
新しい琳派を描いた雪佳らしい画である。

その楽しそうな画のせいか、この飾り箱、重さを全く感じさせない。解説によると食物を運ぶ箱らしいがかろやかな雰囲気のせいか、ふわふわと浮かびそうな感じがする。
いいですねぇ。

歴史のある美術館だけあり、その収蔵品には京都の近代美術のエッセンスが溢れている。次回は「色ー響きと調べ」というテーマで色彩のハーモニーが感じられる京都ゆかりの作品が出て来るらしい。
これも愉しみ。

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