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2008年10月10日 (金)

「京と江戸 名所遊楽の世界」 細見美術館

細見美術館で開催されている「京と江戸 名所遊楽の世界」展、風俗画を好む者にとっては楽しめる展覧会である。

Hosomi117世紀初め (慶長から元禄以前までの頃)の京、江戸を描いた祭礼図屏風、邸内図屏風、名所図屏風等がズラーッと並んでいる。

遊んでいる様子や働いている様子、生活の様子を描く事は、絵画の発生時点からはじまった画題である。平安時代の絵巻物、鎌倉・室町の参詣曼荼羅図等、大和画の伝統の中で描かれて来たが、桃山から江戸初期に掛けてパーッと花咲くが様子で広がった。

特にこの時代の風俗画には身分の上下、男女に関わらず、日々の生活を楽しんでいる様子が有り、また安定し始めた生活から来る憂愁の思いが描かれている。

そのような画をみていると、あたかもその時代にワープした様な感じとなる。

Hosomi6これは「東山名所図屏風」。(部分)

祇園社、八坂塔、清水寺、大仏殿、三十三間堂を描いた四曲一双の屏風。

この屏風、全体的に描き方が稚拙な感じがするが、特に大仏殿の描き方がおかしい。
まるで大仏さんが檻に入れられている様な感じ。

この屏風が描かれたとされている17世紀までに、東山の大仏さんは慶長の大地震で首が落ちたとされているので、これは後から描いたと思われる。しかし記憶の中には残っている建物をこんな風に描くのはなんか他の意味があるのかなぁと思ってしまう。

Hosomi3

これは「北野社頭図屏風」。(左雙)(画像をクリックして見て下さい)
「天神さん」で有名な北野天満宮。この頃は秀吉の北野大茶会の印象が強く残っており、その後も花見や茶会が行なわれていた。その頃の様子。

花の下では、赤い毛氈を敷いて、幔幕を張り巡らして坊さんとおもわれる人物が奇麗どころに囲まれて楽しそうに宴会を行っている。
今も昔も花見の宴というと、浮世離れした楽しさに満ちており、「あ〜ぁ、極楽々」てな調子で皆さん浮かれている。端のほうでは酔ったかのようなかんじで奇麗ところを抱きしめている男もいる。

左の方では、鳥居の前で茶売女がお茶を売っている。
奇麗な茶売女の周りには、気を惹くように着飾った若い男が客になっている。

時代が変わってもやってることは変わりませんなぁ〜。

Hosomi4

これは「江戸名所遊楽図屏風」(部分)

江戸初期の浅草寺の境内の様子が描かれている。上の川は隅田川。
門前では京の四条河原と同様に多くの芸人が踊りや芸能を演じている。
太鼓や三味線を鳴らしながらジャグリングを演じたり、鉦を叩いている勧進僧等、当時の放浪芸の様子が面白い。
下の方では、浄瑠璃の小屋が建てられ、多くの人が木戸銭をはらって観ている。
このように、神社やお寺の芝の上に居座り観る事から「芝居」と言われるようになったされているが、なるほどね。

Hosomi2

これは、細見美術館の呼び物の1つである「男女遊楽図屏風」(一部)

細かい文様の小袖を着飾った女が遊里の一角に置かれた床几に座り手紙を読みながら。お供の禿が指差す方を眺めている様子。その禿のさす方向には無骨な使いの者と思われる男が座っているという情景である。

この左方には、遊里の館の中となり、盲人と他の遊女が三味線を奏でたり、遊女と歌舞いた若者がしゃべっていたりする様子が描かれている。

基本的には「彦根屏風」の写しとされているが、これはこれで見ていて楽しい。

この時代の「男女遊楽図屏風」には、今までの風俗画と異なり、はっきりと個人の実像が現れて来る。

遊女や歌舞いた若者、一人々に表情が有り、内面の心模様を表すようになる。
遊女の物憂いげな表情や、若者のうつろな表情。その中にこの時代の特色を表している。
時代を表す画となって来ているし、人を中心とした画となってきている。

「男女遊楽図」という題材は、人間を表すという点で近世の風俗画の1つの頂点となっていると思える。

その他、「洛外図屏風」「賀茂競馬図屏風」「犬追物図屏風」「誰が袖屏風」「四条河原図巻」等、細見美術館の屏風が総出演。見所の多い展覧会である。

「淋派」も良いが「風俗図」も楽しい画ですよ!

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