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2008年10月12日 (日)

「仏の形 心の形」 泉屋博古館

東山の山裾にある「泉屋博古館」、住友家が萬集したコレクションを収めた美術館である。
さすが住友財閥だけあり、中国の青銅器、中国の書画、日本の書画、仏教美術とその守備範囲は広い。

Senoku1この秋の特別展は「仏の形 心の形」と題して中国・朝鮮・日本の仏教美術の優品を集めている。

天王町の坂道を上がり、美術館に入り特別展がおこなわれている部屋に中庭の渡り廊下を通って入る。

泉屋博古館は1つの展示室に展示物を集めている。その部屋でまず目についたのがチラシにのっている「毘沙門天立像」。これはすばらしい!

大きさは50〜60センチ位の小振りの毘沙門天で、もとは青蓮院に伝わったものと言われている。
その絶妙のバランスのとれた姿態、程よく抑制された忿怒の顔付、美しい品格のある毘沙門天像である。

左手には宝塔をかかげ、右手は高く上げている。(本来はここに戟(ゲキ)を持つのだが)
右足は邪鬼の頭を踏み押さえ、左足は邪鬼の臀部を踏みつけている。
激しい動きを表しているが、その体は緊張感もなく自然な感じがする。

この毘沙門天像の面白い所は、その玉眼。毘沙門天像の眼にはもちろん、鎧の獅子噛(ベルトのバックル)、そして邪鬼の眼にも嵌められている。特に邪鬼の眼は踏みつけられて半分白目になっているところがなかなかリアル。

この毘沙門天像、説明書きによると30年程前奈良国立博物館で展示されたきり、以降表にはでなかったそうで、今回泉屋博古館では初めての展示になるそうだ。

Senoku2_2これは中国北魏の「金銅弥勒仏立像」。

光背が日本でみる仏とは異なり肉厚でまるで仏が背負った様な感じがする。
この仏には太和22年と彫られており、西暦でいうと498年の作と見られている。
日本に仏教が伝来する前の仏である。

その他中国、朝鮮の金銅仏が10体程展示されてあったが、仏も各地によりその表情が異なることがよくわかる。
中国も南方の地方では、仏の顔は肉厚で艶かしく感じられ、北方の仏は眼が細く人間くさくなっている。朝鮮の仏は面長でちょっと異様な面立ちである。

日本の仏は飛鳥奈良時代には、その時々に影響を受けた国の表情をしていたが、平安中期以降は独自のヤマト風の面となっている。その辺の移り変わりを見るのがまた楽しい。

Senoku3住友コレクションというと世界的に有名なのが中国古代の青銅器。

住友家は銅の商いで大きくなったせいか、中国の青銅器を数多く集めている。
その住友コレクションといえばやはりこれでしょう。
西周時代の「虎ゆう」。(ゆうの漢字は変換不可)

神虎が後ろ足と尻尾で立ち上がり、前足で人を抱え込んでいる。持ち上げる取っ手があり、なにか酒なんかを持ち運ぶ容器であったと考えられている。

しかしこの一面に彫られている、渦巻き模様や文様の素晴らしい事。(この文様は単なる模様ではなく呪術の内容や神の名を示すものでもある。)
また虎の顔の大胆な事。まるで現代美術のオブジェのような感じがする。
これが現在から3000年以上も前のものだとは信じられないくらいモダンに見える。

この青銅器コレクション一見の価値はありますよ。

お寺や神社だけではなく、京都の私設の美術館各自が特色を持ってがんばっており、巡って回るのもまた面白い。

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