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2009年11月21日 (土)

アムステルダム、ベルギーそしてパリへ(ゴッホ美術館 )

今回ヨーロッパへ来たのは、一つにはゴッホの絵を浴びるように見てみたいという単純な欲望のため。

何故そんな風に思うかというと、
絵を見るという行為には、一点の好きな絵をじっくり見るという行為も大事ですが、時には同じ作家なり同じ傾向の絵を大量に見て行くことも大事だと思っているからです。
そうすることで自分の好きな絵が描かれた流れなり、好きな絵の位置付けみたいなものがわかってきます。
やがてそれが自分の感性の姿に結びついていきます。

特にゴッホは本格的に絵を描きだした1880年から自殺する1890年までの10年間に700〜800点近くの絵を描きました。特にアルル、サンレミ、そしてオーヴェールの頃は年間に200点を超える作品を描いた時もあるらしい。

画家がそれだけのスピードをもって描いていたということは、やはり、その頃に描かれた絵をある程度大量に見ていかないとゴッホの絵のもつスピード感みたいなものが実感できないし、またその凄さも感じられないのではなかろうかと思っています。

そこで、まずはゴッホ美術館から。

Rimg0085_2

ゴッホの名の付く美術館だけあって、初期の絵から最後の頃の絵まで資料なんかも含めると100点位がズラーッと並んでいます。

でも、案外入場者の数は少ない。入場待ちの行列ができると聞いていたのだが。
これはじっくりと見られそう。

まずは絵を描きだした1880年位からパリへ出るまでの初期の絵です。

Img_gogh1

これは「ジャガイモを食べる人達(1885)」

初期のゴッホの絵は暗い。その後のゴッホの絵からは考えられない程、テーマといい、色といい、陰鬱で重たく感じます。この頃描かれた風景画や静物画、また人物画などの絵の基準となる色は黒であり、くすんだ黄色であり、冷たい白であり、モチーフも黙々と働く職工であり、厳しい労働に疲れた農民であり、もの悲しい夕暮れであり、寂しい雪野原です。

ただ筆のタッチは後のゴッホを感じさせるように、部分部分で荒々しく、強引であり、何かを表わしたいという画家の欲望をストレートに現しています。

この「ジャガイモを食べる人達」を見て気付くことですが、ここに描かれている人達には団欒は無いと思えます。これは不思議な事です。家族の夕餉に団欒が無い事は・・・。

ジャガイモを切り分けている若い女性は隣の主人らしき男を見ていますが、男は無視するかのように宙を見ています。真ん中のコップを差し出す老婆は隣の女性を見ているが、その女性は気付かない振りで、黙々とお茶を注ぐことに専心しています。背中を向けている子供はジャガイモの湯気をぼんやりと眺めている様子だし、夕餉の団欒と言うには余りにも寂しい情景です。

他人を思いやる気力も無いぐらい、昼間の労働に疲れているのでしょうか?
先の見えない貧しい生活に打ちのめされているのでしょうか?

これがゴッホの描きたかった世界なんでしょうか?

Img_gogh2

この絵は「ジャガイモを食べる人達」と同じ頃描かれた「白い頭巾の農婦の顔」。

この時期、ゴッホはいくつもの貧しい農民や織物工場の職人の絵を描いていることが並んでいる作品からわかります。
それは人の一部のスケッチだったり、畑で働く農民の姿であったり、肖像画であったりするが、その中では同じような構図でいろいろなテクニックをためしています。

光の描き方をかえたり、タッチを粗くしたり、色の組み合わせを変えたり、歳を取ってから絵を描き始めた分、相当の努力をしていたのでしょう。

この絵はモデルの持つ素朴さと、ゴッホの試みた単純なテクニックとがうまくマッチしている絵だと思えます。

Img_gogh4

これは「ドレンテ地方の小屋」。
曇り空の下黒々とした小屋の姿が広がってます。
この風景にも明るさは感じられません。

牧師の家に生まれ、自らも伝道師としての活動を行ったゴッホにおいて、貧しき人々をいかに救うかというのは切実なテーマであったでしょう。芸術とは苦しんでいる人を救うためにあり、ゴッホはそのために絵を描こうとしたような感じがします。

逆に、その描いた絵が世間に受け入れられなかったことに対する焦り、焦燥はゴッホ自身を相当苦しめたと思えます。

ゴッホの絵のスタートがこのような暗い絵から始まっているということは今後のゴッホの絵を見て行くにあたりポイントになることだと思います。

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