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2010年3月 8日 (月)

アムステルダム、ベルギーそしてパリへ(マウリッツハウス美術館 その1)

やっと入れたマウリッツハウス美術館。

フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」で有名だが、それ以外にもオランダ絵画の優品が並んでいる。
まずは、静物画から。

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これは、17世紀に活躍したデ・へームの「花と花瓶」。

この頃のオランダ絵画を見ているとその細密さと考え抜かれた構図に驚く静物画に出会います。
それらはだいたい2パターンあって、ひとつは食物や食器等が並んだ食卓を描いた絵、もうひとつは花器に活けられた花々です。これは花の方の絵。

真っ暗なバックにトップライトを浴びたかのように光り輝く花達。あまりにも濃密な構成に妖艶な雰囲気を感じさせます。奇妙に折れ曲げられた茎、虫に食われた跡を残す葉、不自然に配置された蝶達、それらが更にその濃密な雰囲気を増長させます。

ちょうどこのような気持ちにさせる絵に若冲の彩色画があります。同じように執拗なまでの細密さと大胆な色使いがよく似ています。17世紀から18世紀にかけて、洋の東西で同じような気持ちにする画家がいたことに驚かされます。

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これは17世紀のアムステルダムやハーグで活躍したファブリツィウスが描いた「五色のひわ」。

薄い色調で柔らかな感じのする絵です。色々な対象がきっちりと構成され、陰影のメリハリがはっきりとした絵を見続けている中で、ふとこういう単純な清楚さを持つ絵に出会うとほっとした感じになり、見とれてしまいます。

解説書によると、この絵はもともとはだまし絵として描かれたものだそうで、この絵の上のほうに本物の巣箱が有り、この下に水飲みの器が置かれていたとされています。その間にいかにも本物の鳥であるかのようにこの絵が描かれたそうです。

そのような眼で見ると、立体感を誇張するかのように描かれた金属の輪っかや影の描き方にオランダ絵画の特徴があるなぁという感じがしますが、しかしちょっと周りの絵とは異なった感じのする絵です。

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これはルーベンスの「ローソクを持つ老婆と少年」。

1本のろうそくから発するる光は直接に当たる部分を白く輝くように照らし、その光の道を閉ざす物には突き通し内面から燃え上がっているかのように赤く浮かび上がらせます。影になる部分には光は柔らかく沈む込み、そして闇へと同化していきます。

この光から闇への移ろいは、若さから老いへと流れる時間の移ろいでもあります。
その時間の流れを永遠に継続させるかのように、燃え尽きようとしている老婆のろうそくから少年の新しいろうそくへ炎は移されて行きます。

観る者一人一人の心情によって、色々な思いが成り立つ深さを持った絵です。

このように光と影の構成で立体感を強調し、モチーフを際立たせようとする手法は、イタリアのカラヴァッジオに始まり、オランダのルーベンスへ伝わり、そしてフランスのラ・トゥールへと続いていき近代へ引き継がれていきます。ヨーロッパの一つの絵画の流れを示す傑作です。

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レンブラントの絵はアムステルダムのRIJKMでも多く観ましたが、このマウリッツハウス美術館にも優品があります。

これは「ニコラース・テュルプ博士の解剖学講義」です。初期のレンブラントの傑作の一つです。

この絵にもレンブラントの集団肖像画によくみられる独特の工夫がされてます。
よく見ると描かれている8人の人物、すべての視線がバラバラであることに気付きます。
ある者は絵を観ている者の方を見つめ、ある者は手術する手を見つめ、ある者は説明する博士の顔を眺め、ある者は周りの様子を伺うといような調子です。

この視線のバラバラさが、観る側においては奇妙な空間の凸凹観を感じさせます。
消失点を明確にした遠近法や、一つの方向から差し込む光と影による立体感とは異なる空間が観る者を惹きつけます。

常に観る者を惹きつける工夫がされているのがレンブラントの大作の魅力でもあるのです。

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